「求む、生き残り戦術」 米新聞業界の暗中模索
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【2月17日 AFP】苦境に陥っている米新聞業界の先行きをめぐってジャーナリストや編集者、ブロガー、メディア評論家、果ては意識の高い市民までが活発に意見を交わす中、新聞の命運そのものが今やニュースと化している。
■有力メディアが次々に特集
米誌タイム(Time)は「How to Save Your Newspaper(新聞をいかに救うか)」という巻頭特集を組み、ウォルター・アイザックソン(Walter Isaacson)元編集長が、電子版ニュースの閲覧を再び有料化する提案をした。
米ニューヨーク・タイムズ(New York Times)紙の「Battle Plans for Newspapers(新聞がとるべき戦略)」と題した特集では、メディア界・IT業界の著名コメンテーターら8人と同紙編集記者らとが、2008年だけで2万人以上の人員が削減され危機的状況にある米新聞業界の「生き残り戦術」を議論した。
人気オンラインコミュニティーサイト、クレイグズリスト(craigslist.com)の創設者クレイグ・ニューマーク(Craig Newmark)氏も、NY紙の議論に参加した1人。独自のフリーオンラインサービスの導入で新聞社の経営基盤を支える新聞広告ビジネスを崩壊させたと、業界からは批判も受けている人物だ。同氏は、「活発なジャーナリズム、特に調査報道は存続されなければならない」と強調し、メディアの将来像としては「地域密着型」のニュースウェブサイトやProPublica.orgなどの「博愛主義的」なベンチャーを例に挙げている。
NY紙には最近、「新聞社はカレッジや大学のような非営利の研究機関に生まれ変わるべきでは」とする、エール大学(Yale University)最高投資責任者デービッド・スウェンセン(David Swensen)氏と金融アナリストのマイケル・シュミット(Michael Schmidt)氏の意見記事が掲載されもした。
■唯一の解決策は有料化か
業界ウォッチャーの多くは、米紙衰退の原因は印刷版の広告収入と発行部数の減少にあるとの見方で一致している。電子版なら読者は無料でニュースを入手できるからだ。オンライン広告収入は増えているが、印刷版における収益の落ち込みを補うまでには至っていない。
だが、この問題をどう解決するかについては、見解が割れる。
議論の大半は、ネット上でただでニュースを読むことになれた読者が、質の高いジャーナリズムに対価を支払う準備が果たしてあるかどうかという1点に集中している。
米主要紙で現在、電子版の全コンテンツ有料化に成功しているのは、ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)1紙のみ。つい先日、NY紙のビル・ケラー(Bill Keller)編集主幹が一部の高品質・高価値のコンテンツを有料化する方針を発表したが、同紙はほんの2年前、実験的に立ち上げた同様の有料サービス「TimesSelect」が不発に終わる苦い経験をしている。
■有料化するとウェブ検索はできない
一方、有料化には「新聞の死のスパイラルを早めるだけ」との慎重論もある。
ジャーナリストのスティーブ・アウティング(Steve Outing)氏は、「記事の有料化はインターネットの本質に反している。有料記事はグーグル(Google)などの検索エンジンには引っかからず、ウェブ上に存在しないも同然。無論、ビジネスは立ちゆかない」と指摘する。
同氏は、むしろカリフォルニアの新興ベンチャー「Kachingle」のシステムを理想として挙げている。これは、読者が「お気に入りの出版元やブロガーのコンテンツに対し、それをサポートするための一定の月額料金を自発的に支払う」というものだ。
ロサンゼルス在住のブロガー、T.J. サリバン(T.J. Sullivan)氏は、さらに抜本的な対策を提案している。同氏は、今年7月に1週間ほど無料電子版を閉鎖して印刷版だけを発行するよう、各紙に呼びかける請願をネット上で行っている。「今こそ、新聞は積極的な行動に出るべきだ。つまり、新聞のない生活とはどういうものかを、世間に知らしめる時なのだ」(サリバン氏)。(c)AFP/Chris Lefkow
■有力メディアが次々に特集
米誌タイム(Time)は「How to Save Your Newspaper(新聞をいかに救うか)」という巻頭特集を組み、ウォルター・アイザックソン(Walter Isaacson)元編集長が、電子版ニュースの閲覧を再び有料化する提案をした。
米ニューヨーク・タイムズ(New York Times)紙の「Battle Plans for Newspapers(新聞がとるべき戦略)」と題した特集では、メディア界・IT業界の著名コメンテーターら8人と同紙編集記者らとが、2008年だけで2万人以上の人員が削減され危機的状況にある米新聞業界の「生き残り戦術」を議論した。
人気オンラインコミュニティーサイト、クレイグズリスト(craigslist.com)の創設者クレイグ・ニューマーク(Craig Newmark)氏も、NY紙の議論に参加した1人。独自のフリーオンラインサービスの導入で新聞社の経営基盤を支える新聞広告ビジネスを崩壊させたと、業界からは批判も受けている人物だ。同氏は、「活発なジャーナリズム、特に調査報道は存続されなければならない」と強調し、メディアの将来像としては「地域密着型」のニュースウェブサイトやProPublica.orgなどの「博愛主義的」なベンチャーを例に挙げている。
NY紙には最近、「新聞社はカレッジや大学のような非営利の研究機関に生まれ変わるべきでは」とする、エール大学(Yale University)最高投資責任者デービッド・スウェンセン(David Swensen)氏と金融アナリストのマイケル・シュミット(Michael Schmidt)氏の意見記事が掲載されもした。
■唯一の解決策は有料化か
業界ウォッチャーの多くは、米紙衰退の原因は印刷版の広告収入と発行部数の減少にあるとの見方で一致している。電子版なら読者は無料でニュースを入手できるからだ。オンライン広告収入は増えているが、印刷版における収益の落ち込みを補うまでには至っていない。
だが、この問題をどう解決するかについては、見解が割れる。
議論の大半は、ネット上でただでニュースを読むことになれた読者が、質の高いジャーナリズムに対価を支払う準備が果たしてあるかどうかという1点に集中している。
米主要紙で現在、電子版の全コンテンツ有料化に成功しているのは、ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)1紙のみ。つい先日、NY紙のビル・ケラー(Bill Keller)編集主幹が一部の高品質・高価値のコンテンツを有料化する方針を発表したが、同紙はほんの2年前、実験的に立ち上げた同様の有料サービス「TimesSelect」が不発に終わる苦い経験をしている。
■有料化するとウェブ検索はできない
一方、有料化には「新聞の死のスパイラルを早めるだけ」との慎重論もある。
ジャーナリストのスティーブ・アウティング(Steve Outing)氏は、「記事の有料化はインターネットの本質に反している。有料記事はグーグル(Google)などの検索エンジンには引っかからず、ウェブ上に存在しないも同然。無論、ビジネスは立ちゆかない」と指摘する。
同氏は、むしろカリフォルニアの新興ベンチャー「Kachingle」のシステムを理想として挙げている。これは、読者が「お気に入りの出版元やブロガーのコンテンツに対し、それをサポートするための一定の月額料金を自発的に支払う」というものだ。
ロサンゼルス在住のブロガー、T.J. サリバン(T.J. Sullivan)氏は、さらに抜本的な対策を提案している。同氏は、今年7月に1週間ほど無料電子版を閉鎖して印刷版だけを発行するよう、各紙に呼びかける請願をネット上で行っている。「今こそ、新聞は積極的な行動に出るべきだ。つまり、新聞のない生活とはどういうものかを、世間に知らしめる時なのだ」(サリバン氏)。(c)AFP/Chris Lefkow