【1月12日 AFP】米ミシガン(Michigan)州デトロイト(Detroit)で開幕した北米国際自動車ショー(North American International Auto Show)の会場前で11日、全米自動車労組(United Auto WorkersUAW)の組合員らが、業績が悪化している米自動車産業の再建目的での賃金引き下げに抗議した。

「必要なのはイラク戦争より医療保険」「米国車を買え」「米国を築いたのはわれわれだ」「(米国)車を殺すのは国を殺すことだ」「銀行や経営トップが金を出せ」――。会場前に集結した組合員らは、プラカードを手に抗議の声を上げた。

「なぜわれわれが犠牲を払わなければならない?」とUAW組合員の1人が言えば、別の1人は「すでに十分すぎるほどの犠牲を払った。生活はもうぎりぎりの状態だ」と訴える。

 労組側が配布した冊子には、「われわれは外国の自動車企業の従業員ではない。同様に扱うな」などと書かれ、米企業に比べ低賃金とされるトヨタ自動車(Toyota Motor)やホンダ(Honda)など外国系自動車企業の現地工場を暗に批判している。

 米政府は、クライスラー(Chrysler)やゼネラル・モーターズ(General MotorsGM)に巨額の追加融資を行う条件として、従業員の労働条件を見直すよう求めており、数週間内にも労使交渉が行われる見通し。経営側は労組に対し、賃金引き下げや各種手当てカットなどを含むリストラ対策への理解を求めるものとみられる。

 業界専門家は、米政府からの圧力がかかっていることから、労組がストライキを行使する可能性は薄いとしている。(c)AFP