【12月29日 AFP】ロシアがウクライナに供給しているガスの支払いをめぐる問題で、ロシア側が警告で示した契約更新期限である1月1日0時が迫っているが、交渉が難航しているためロシア側がガス供給を停止する可能性が強まり、新たな外交紛争への発展が懸念されている。

 両国のガス交渉担当関係者らは年末年始の休暇返上で、調整に当たっている。ロシア側は2008年にウクライナに販売したガスのうち20億ドル(約1800億円)分が未払いだと主張。ロシア政府系の天然ガス独占企業ガスプロム(Gazprom)は、未払い分が年内に支払われなければ契約更新は成立せず、1月1日からガス供給を停止する可能性もあるとウクライナ側に前週、警告した。

 ビクトル・ズプコフ(Viktor Zubkov)第1副首相が議長を務めるガスプロムの取締役会は29日、臨時会議を招集して状況について協議する。ガスプロムのセルゲイ・クプリヤノフ(Sergei Kupriyanov)広報担当は27日のラジオ・インタビューで、ガス供給停止か、ウクライナ側と土壇場に合意に至るかの可能性について「五分五分だ」と語った。

 ガス供給が止まれば、ウクライナ経由でロシアのガスを購入している欧州諸国にも打撃が及び、2006年1月と同様の混乱した事態が発生しうる。

 カーネギー国際平和財団モスクワ・センター(Carnegie Moscow Centre)のアナリスト、アレクセイ・マラシェンコ(Alexei Malashenko)氏は「ロシアの政治家は、ガス問題をめぐってウクライナに対して圧力をかけることに執着している」と評した。
 
 ガスプロムのクプリヤノフ広報担当によると、ウクライナ側からはすでに11月分の8億500万ドル(約728億円)と、12月分の8億6200万ドル(約780億円)、さらに支払延滞金に当たる4億5000万ドル(約407億円)を支払えない旨が通告されている。両者は1日までに残された数日間で、ロシア側がウクライナ側に支払っているガスパイプライン通過料を帳消しにするなど、未払い分の支払い以外の解決方法を模索するとみられる。(c)AFP/Olga Nedbayeva