大銀行も相次ぎ被害、ナスダック元会長マドフ容疑者の巨額詐欺
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【12月15日 AFP】米証券界の実力者で、元ナスダック・ストック・マーケット(Nasdaq Stock Market、現ナスダックOMXグループ)会長のバーナード・マドフ(Bernard Madoff)容疑者(70)による巨額詐欺事件で15日、古典的とも言える「ねずみ講」まがいの手口にだまされたことを認める世界の大手金融機関が相次いだ。
投資残高を明らかにした銀行などは英、仏、日本、スペインなどに及び、総額は数百億ドル(数兆円)にも達するとみられる。世界の富裕層も大きな打撃を被りそうだ。
米捜査当局は、マドフ容疑者が新規顧客の投資資金を密かに配当にあて、高い利ざやを維持する「ねずみ講」方式で高い利回りを装っていたとみている。新規顧客を勧誘できていた間は運営を継続できたが、資金の引き上げを求める顧客が現れ始めると潤沢なはずのマドフ氏の投資ファンドの実態が発覚した。
このねずみ講の一種である詐欺方式は、1920年代の米国の詐欺師チャールズ・ポンジ(Charles Ponzi)の名にちなみ「ポンジ・スキーム(Ponzi scheme)」としても知られる。チャールズ・ポンジは当時、国際返信切手券(International Reply Coupon、IRC)を使った一種の裁定取引で40%の利回りが得られるとして零細な投資家数千人から金をだまし取った。
マドフ容疑者のファンドに3120万ドル(約28億円)を投資していたことを明らかにした英投資ファンドBramdean Alternativesは、米国の金融規制制度に対する「根本的な疑問」が生じる事件だとの談話を発表した。同社は声明で「これほど明白な詐欺がこれだけ長い期間、おそらく何十年にもわたって継続していたことに驚きを禁じ得ない。その間、投資家たちはマドフ氏のファンドに信頼を寄せて、資金をつぎ込んでいたのだ」と非難した。
■マドフ容疑者のファンドに投資していた金融機関など
・英大手銀行ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(Royal Bank of Scotland、RBS):約4億ポンド(約552億円)
・スペイン銀行最大手サンタンデール(Santander、HSBCに次ぎ欧州2位):約30億ドル(約2700億円)
・仏投資銀行ナティクシス(Natixis):約4億5000万ユーロ(約554億円)以上
・仏BNPパリバ(BNP Paribas):約3億5000万ユーロ(約431億円)
・野村ホールディングス(Nomura Holdings):約3億300万ドル(約275億円)相当
・韓国の複数の金融機関:金融監督当局によると合計で約9500万ドル(約86億円)
・英系ヘッジファンド大手マングループ(Man Group) :約3億6000万ドル(約324億円)
・英銀行大手HSBC:英フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)紙の報道によると約15億ドル(約1350億円)相当
・スペイン第2位のビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行(Banco Bilbao Vizcaya Argentaria、BBVA):スペインの全国紙パイス(Pais)が関係者の話として伝えたところによると約5億ユーロ(約615億円)
・仏保険大手アクサ(Axa):約1億ユーロ(約123億円)未満
・仏銀大手クレディ・アグリコル(Credit Agricole):約1000万ユーロ(約12億3000万円)未満
・仏銀大手ソシエテ・ジェネラル(Societe Generale):約1000万ユーロ(約12億3000万円)未満
・伊銀最大手ウニクレディト・イタリアノ(UniCredit):約7500万ユーロ(約92億円)程度。このほかに投資部門パイオニア・インベストメンツ(Pioneer Investments)が間接的に影響を受ける可能性もある。
・イタリア人民銀行(Banca Popolare Italiana、BPI):約6800万ユーロ(約84億円)
・スイス・ジュネーブ(Geneva)の複数のプライベートバンク:ル・タン(Le Temps)紙によると合計で最大50億ドル(約4500億円)
・スイスのプライベートバンク、ライヒムース(Reichmuth):3億2800万ドル(約295億円)
・スウェーデンの銀行グループ、ノルデア(Nordea):4800万ユーロ(約59億円)
・独ドイツ銀行(Deutsche Bank)とコメルツ銀行(Commerzbank)は投資残高などを発表していない。
・米ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street Journal、WSJ)では、米国の有力投資家らに加え、英不動産業界の実力者で英国有数の富豪、ビンセント・チェンギス(Vincent Tchenguiz)氏などにも大きな影響があると推測している。
(c)AFP
投資残高を明らかにした銀行などは英、仏、日本、スペインなどに及び、総額は数百億ドル(数兆円)にも達するとみられる。世界の富裕層も大きな打撃を被りそうだ。
米捜査当局は、マドフ容疑者が新規顧客の投資資金を密かに配当にあて、高い利ざやを維持する「ねずみ講」方式で高い利回りを装っていたとみている。新規顧客を勧誘できていた間は運営を継続できたが、資金の引き上げを求める顧客が現れ始めると潤沢なはずのマドフ氏の投資ファンドの実態が発覚した。
このねずみ講の一種である詐欺方式は、1920年代の米国の詐欺師チャールズ・ポンジ(Charles Ponzi)の名にちなみ「ポンジ・スキーム(Ponzi scheme)」としても知られる。チャールズ・ポンジは当時、国際返信切手券(International Reply Coupon、IRC)を使った一種の裁定取引で40%の利回りが得られるとして零細な投資家数千人から金をだまし取った。
マドフ容疑者のファンドに3120万ドル(約28億円)を投資していたことを明らかにした英投資ファンドBramdean Alternativesは、米国の金融規制制度に対する「根本的な疑問」が生じる事件だとの談話を発表した。同社は声明で「これほど明白な詐欺がこれだけ長い期間、おそらく何十年にもわたって継続していたことに驚きを禁じ得ない。その間、投資家たちはマドフ氏のファンドに信頼を寄せて、資金をつぎ込んでいたのだ」と非難した。
■マドフ容疑者のファンドに投資していた金融機関など
・英大手銀行ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(Royal Bank of Scotland、RBS):約4億ポンド(約552億円)
・スペイン銀行最大手サンタンデール(Santander、HSBCに次ぎ欧州2位):約30億ドル(約2700億円)
・仏投資銀行ナティクシス(Natixis):約4億5000万ユーロ(約554億円)以上
・仏BNPパリバ(BNP Paribas):約3億5000万ユーロ(約431億円)
・野村ホールディングス(Nomura Holdings):約3億300万ドル(約275億円)相当
・韓国の複数の金融機関:金融監督当局によると合計で約9500万ドル(約86億円)
・英系ヘッジファンド大手マングループ(Man Group) :約3億6000万ドル(約324億円)
・英銀行大手HSBC:英フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)紙の報道によると約15億ドル(約1350億円)相当
・スペイン第2位のビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行(Banco Bilbao Vizcaya Argentaria、BBVA):スペインの全国紙パイス(Pais)が関係者の話として伝えたところによると約5億ユーロ(約615億円)
・仏保険大手アクサ(Axa):約1億ユーロ(約123億円)未満
・仏銀大手クレディ・アグリコル(Credit Agricole):約1000万ユーロ(約12億3000万円)未満
・仏銀大手ソシエテ・ジェネラル(Societe Generale):約1000万ユーロ(約12億3000万円)未満
・伊銀最大手ウニクレディト・イタリアノ(UniCredit):約7500万ユーロ(約92億円)程度。このほかに投資部門パイオニア・インベストメンツ(Pioneer Investments)が間接的に影響を受ける可能性もある。
・イタリア人民銀行(Banca Popolare Italiana、BPI):約6800万ユーロ(約84億円)
・スイス・ジュネーブ(Geneva)の複数のプライベートバンク:ル・タン(Le Temps)紙によると合計で最大50億ドル(約4500億円)
・スイスのプライベートバンク、ライヒムース(Reichmuth):3億2800万ドル(約295億円)
・スウェーデンの銀行グループ、ノルデア(Nordea):4800万ユーロ(約59億円)
・独ドイツ銀行(Deutsche Bank)とコメルツ銀行(Commerzbank)は投資残高などを発表していない。
・米ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street Journal、WSJ)では、米国の有力投資家らに加え、英不動産業界の実力者で英国有数の富豪、ビンセント・チェンギス(Vincent Tchenguiz)氏などにも大きな影響があると推測している。
(c)AFP