【11月5日 AFP】アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ(Dubai)に4日、世界最大級のショッピングモール「ドバイモール(Dubai Mall)」がオープンした。世界的な金融危機のなか、この200億ドル(約2兆円)規模のプロジェクトが成功を収めるかは極めて不確実とみられている。

 モールには、1200店舗のほか、ゴールドスーク(金市場)、250室の豪華ホテル、屋内水族館、五輪規格のスケートリンク、22の映画館、120のレストラン・カフェが入る。1200という店舗数は、ロンドン(London)に前月30日にオープンした大型ショッピングモール「ウェストフィールド・ロンドン」の4倍の数だ。年間3000万人の来客を見込む。

 しかし、ドバイに拠点を置くシンクタンク「湾岸諸国研究センター(Gulf Research Centre)」のエコノミストの見方は悲観的だ。「金融危機の影響が世界中に広がる中、アラブ首長国連邦(UAE)も例外ではない。銀行がクレジットカードの利用に課す制約が大きく響くだろう」。このエコノミストは、住宅価格の高騰で、ドバイとアブダビ(Abu Dhabi)の住民の購買力は数年前から低下しているとも指摘している。

■華々しさに欠けるオープン

 ドバイモールは、約700メートルという世界一の高さに達している建設中の超高層ビル「ブルジュ・ドバイ(Burj Dubai)」の足元に位置する。マークス・アンド・スペンサー(Marks and Spencer)、ギャラリー・ラファイエット(Galeries Lafayette)、ブルーミングデールズ(Bloomingdales)など、世界に名だたる小売チェーンもモールに出店する。ただオープン当初は、シャッターが閉まったままの店舗が多いことが予想される。同モールのウェブサイトによると、ブルーミングデールズは2010年、ギャラリー・ラファイエットは09年2月にそれぞれ出店する予定だ。

 オープンは何度も延期されていた。当初の予定では2006年末までにオープンするはずだったが、その後、2008年8月、同10月30日と延期され、最終的には11月4日に設定された。地元紙は前週、工事が残っているために再び延期される可能性を示唆していた。

 前述のウェストフィールド・ロンドンは、地元紙によると、大勢の客でにぎわってはいるもののその多くが財布のひもをゆるめず、ウインドーショッピングに専念しているという。

 だが、ドバイモールのプロジェクトを手がける不動産大手エマール(Emaar)の子会社、エマール・モールズ(Emaar Malls)は、あくまでも楽観的だ。ドバイモールのジェネラルマネージャー、ユスフ・アリ(Yousif al-Ali)氏は、「モールが生活の一部になり娯楽の宝庫ともなっている中東のような場所では、他とは一味違うショッピング体験が求められる」と語る。実際、ほぼ一年中気温が高いために屋外での買い物が不向きな湾岸地域のご多分にもれず、ドバイでも、モールが社会生活の中核を成すまでになっている。(c)AFP