【10月25日 AFP】韓国企業が出資し、北朝鮮の首都・平壌(Pyongyang)に開店したフライドチキン・ショップが、冷却気味の外交関係をよそに活気づいている。

 韓国のフライドチキン・チェーンを所有する事業家、Choi Won-Ho氏は22日、次週平壌を訪問し、2店目の出店について北朝鮮国益企業と契約を交わす。「店の前には長蛇の列ができ、デリバリーの注文が殺到している」と語る。Choi氏は、買っている客の多くは朝鮮労働党の幹部だろうと推測している。「彼らは顔を見られたくないので、デリバリーが増えているのだろう」

 同氏によると、平壌市中心部の100席ある料理店「Matdaero」でのフライドチキンの売り上げは、北朝鮮の労働者が得る平均賃金は非常に低いにもかかわらず、1日1000ドル(約9万7000円)にも相当するという。この店舗は前年11月に開店したが、平壌市民にとってチキンやビールが、家までスクーターや自転車で運ばれてくるサービスはこれが初めてだった。

 原料の鶏は北朝鮮産だが、香辛料やデリバリー用の容器などは韓国から輸入されている。

 窮乏している北朝鮮に投資しようという考えを持ち出したときには、多くの韓国人から懐疑的な反応を受けたとChoi氏は言う。しかし「これで彼らの想像は間違いだったと分かっただろう」と今は胸を張る。
 
 韓国と北朝鮮の2国間関係は、韓国にリベラル派政権が10年続いた後の今年2月、保守派の李明博(イ・ミョンバク、Lee Myung-Bak)政権が誕生してから低調気味で、北朝鮮側はほとんどすべての公式な接触を絶っている。(c)AFP