【10月20日 AFP】世界的な金融危機の発端となった米住宅価格の下落について、専門家らは底打ちには程遠く、消費者の痛みと金融機関の不良債権はさらに膨らむと予想している。

 米格付け機関スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の主任エコノミスト、デービッド・ウィス(David Wyss)氏はAFPに対し、「底打ちは2009年末以降」「反騰はせず、徐々に回復する」との見方を示した。

 米住宅市場は過去最高値を記録した06年7月からすでに20%と大きく下落しているが、ウィス氏は全米20都市を対象にした「S&P/ケース・シラー住宅価格指数(S&P/Case-Shiller Index)」を元に、来年にかけてさらに10%下落すると試算する。

 不動産バブルの崩壊で、住宅価格には売れ残り・差し押さえ物件の増加や失業率の上昇、住宅ローンの貸し渋りといった下押し圧力がかかり、下落傾向に歯止めがかからない。売れ残り物件数は、特にカリフォルニア(California)州やフロリダ(Florida)州、アリゾナ(Arizona)州などで多くなっている。

 米政府は住宅市場に介入し、差し押さえの危機に直面している住宅所有者を救済する方針を明らかにしているが、専門家らの間にはそれでも住宅在庫の調整は続くとの見方が強い。

 全米の住宅ローンの貸し手2000社を週ごとに調査しているHSHアソシエーツ(HSH Associates)のキース・ガンビンガー(Keith Gumbinger)副社長は、住宅市場の現状を「やっかいなスパイラル」と評し、「市場は供給過剰に陥っているが、需要増に貢献する要素にはほとんど改善はみられない。市場が安定し経済の先行きに見通しがつくまで、1年以上かかる可能性がある」と述べている。(c)AFP/Adam Plowright