【10月11日 AFP】(一部更新、写真追加)世界の株式市場で株価が大幅に下落するなか、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領は10日午前(日本事件同日夜)、ホワイトハウス(White House)で国民向けの演説を行った。

 ブッシュ大統領は現在の世界的な金融不安は「先行き不透明感と恐怖」によるところが大きいと述べ、「不安は不安を呼び、すでに実施した対策に目が行かなくなるものだ。われわれはこの危機を解決できる」と語り金融危機を収束させると述べたが、新たな対策への具体的な言及はなかった。

 ダウ工業株30種平均(Dow Jones Industrial Average)は一時8000ドルを下回った後反発したが、ブッシュ大統領演説への失望感から再び大きく値を下げた。


■欧州株式も全面安

 10日、東京株式市場では日経平均株価が1987年10月以来となる9.62%もの大幅な下落を記録し、香港の株価指数も7.2%下落した。

 全面安となったアジア株式市場を受け、10日の欧州の株式市場は下落。ロンドン(London)のFTSE100種総合株価指数は前日比8.85%安という1987年のブラックマンデー以来の下げ幅を記録し、3,932.06で取引を終えた。

 パリ(Paris)のCAC 40指数は7.73%安の3176.49で、フランクフルト(Frankfurt)のDAX指数は7.01%安の4544.31で10日の取引を終えた。その他ミラノ(Milan)では7.14%、アムステルダム(Amsterdam)では8.48%、マドリード(Madrid)では9.14%、株価が下落した。

■G7に期待する声

 10日午後(日本時間11日未明)開幕する先進7か国財務相・中央銀行総裁会議(G7)に出席するためワシントンD.C.(Washington D.C.)を訪れたフランスのクリスティーヌ・ラガルド(Christine Lagarde)経済・財政・雇用相は、各国の株式市場はそれぞれ異なるため、一律の対策ではなく、G7は共通の原則で合意したうえで各国の実情に合った対策を採るべきだと述べた。

 証券投資顧問会社、ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(Brown Brothers Harriman)のアナリスト、マーク・チャンドラー(Marc Chandler)氏は、これまでの対応では金融危機を乗り越すには不十分だという認識が当局者の間に広がりつつあると語り、G7財務相・中央銀行総裁会議で、銀行間の全ての資金融資を保証する対策が打ちだされることに期待感を示した。

 米調査機関RDQエコノミクス(RDQ Economics)のジョン・ライディング(John Ryding)氏は、株式の売りが収まらない原因は信頼感の欠如にあるとして、G7は銀行への資本注入と銀行間の資金融資を保証することで合意することが絶対的に必要だと指摘した。(c)AFP