【9月26日AFP】米ニューヨーク証券取引所(New York Stock ExchangeNYSE)前で25日、7000億ドル(約74兆円)の公的資金を投入する政府の金融安定化策に反対する市民と議員らが、「ゴールデン・パラシュート(買収された企業の経営者が高額の退職手当を得ること)のひもを切れ」と主張して、抗議活動を行った。

 米議会では共和、民主両党の議員らが、巨額の金融支援策に重役手当の制限をもうけることを要求している。

 この動きは、金融危機から無傷で、しかも利益を手にして逃げ延びる金融界の重役たちにうんざりしていた国民の心情をとらえた。

 無所属のバーニー・サンダース(Bernie Sanders)上院議員(バーモント州選出)が呼びかけた、ヘンリー・ポールソン(Henry Paulson)財務長官に宛てた署名運動には、3日間で3万2600人分が集まった。

「最も裕福な人々、最高の給料を得ていた人々は何ら犠牲を求められていない」
「(政府の支援策は)失策をしでかした重役らが法外な給料とボーナスをもらい続けることを(財務省が)認める法案だ」

 ウォール街の重役たちの巨額の給料小切手、ボーナス、多額の退職金を、一般の米国民は「欲はいいことだ」とみなす金融業界の哲学を体現していると見ている。

 USAトゥデー(USA Today)の調査によれば、経営破綻(はたん)した証券大手リーマン・ブラザーズ(Lehman Brothers)のリチャード・ファルド(Richard Fuld)CEOの2007年の給与は、ストックオプション(自社株購入権)などを含めて2200万ドル(約23億円)。

 今月までアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の社長だったマーティン・サリバン(Martin Sullivan)氏は、1400万ドル(約14億8000万円)を受け取っていた。

 こうした巨額の給与に対する怒りが、市民の間に政府の救済策そのものに対する疑念をふくらませている。(c)AFP/Sebastian Smith