【9月17日 AFP】日本銀行(Bank of JapanBOJ)は17日、「景気は停滞を続ける可能性が高い」との判断を示し、市場の不安定感が増しているなか、政策金利の誘導目標を年0.5%に据え置きした。

 日銀の白川方明(Masaaki Shirakawa)総裁は、金融政策決定会合後に会見し、エネルギー・原材料価格が落ち着きを見せたことで、米証券大手リーマン・ブラザーズ(Lehman Brothers)の経営破たんがもたらした混乱状況が緩和されたと述べた。

 白川総裁は、「上下双方のリスクがある」と述べ、国際金融市場が不安定さを増していることや、世界経済は下触れリスクがある一方で、エネルギー・原材料価格が低下しており、交易条件の悪化を緩和する効果があると述べた。

 また、白川総裁は、リーマン・ブラザーズの経営破たんの日本の金融機関への直接的な影響は少ないとした。リーマンは、破たん申請の資料で、最大規模の債権者として日本の大手銀行2行を挙げていた。

 日銀は、事前に発表された声明で、エネルギー・原材料価格の高騰と、世界経済の減速による輸出の鈍化によって、日本の景気が「停滞を維持する可能性が高い」とした上で、景気は、「国際商品市況が落ち着き、海外経済が減速局面を脱するにつれて次第に緩やかな成長を回復する」としていた。

 17日の東京外国為替市場は、日銀の金利据え置きを受けて、円高が進んだ。午前中の1ドル106.54円から大幅に下げ、ニューヨーク外国為替市場の16日夜の1ドル105円62銭からも下げ、午後5時過ぎには1ドル105.5円を推移している。

 また、白川総裁は、日銀の金融政策運営の考え方について、世界的にインフレが懸念されるなか、物価や景気の上下両方向のリスクを分析して、機動的に金融政策を行っていくと述べた。

 日銀は、リーマン・ブラザーズの破たん以降、投資家に対する資金の流動性を確保するため、短期金融市場に16日からの2日間で5.5兆円の資金供給を行った。

 白川総裁は、米政府による米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の巨額融資による救済措置について、1990年代に日本が金融機関の救済に甘すぎるとして非難されていた当時の日銀での経験を引き合いに出し、救済措置が金融システムの安定性に貢献しているとして歓迎した。(c)AFP/Kyoko Hasegawa