【9月11日 AFP】米国防総省は10日、総額350億ドル(約3兆8000億円)に上る米空軍の次期空中給油機発注契約の再入札を中止すると発表した。米国では、11月4日に大統領選本選、1月に新政権が誕生することなどから、ロバート・ゲーツ(Robert Gates)国防長官は、再入札を行うには政治状況が不安定すぎるとしており、同契約は次期政権に委ねられることとなった。

 この契約に関しては、米航空宇宙機器大手ボーイング(Boeing)と受注を争った、米防衛機器大手ノースロップ・グラマンと欧州航空防衛機器大手EADS(欧州防衛宇宙会社、European Aeronautic Defense and Space)の企業連合が今年初めに落札していたが、その後、国防総省が入札やり直しを決めていた。今回の決定はグラマン・EADS連合にとって大きな痛手となる。

 空中給油機179機の発注が予定されている同契約では、グラマン・EADS連合がエアバス(Airbus)330型機、ボーイング側がボーイング767型機の導入を提案していた。米議会内では、特に受注先により直接利害関係が生じる州選出の議員などによる、保護貿易主義的な色合いの濃い激しい議論も行われた。

 国防総省によると、ゲーツ長官は同省や米空軍の高官などとの協議の結果、中止を決定したという。また、今後に関しては、現在運用されている空中給油機「KC-135ストラトタンカー(Stratotanker)」を、米空軍が作戦を支障なく行えるよう十分な整備を施し使用していくという。(c)AFP/Jim Mannion