食糧価格高騰が思わぬ恵みに、貧困国ウガンダで活況を呈する農業
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【9月26日 AFP】世界的な食糧価格の高騰が世界中の消費者を苦しめているが、ここウガンダでは、多くの農民にとって「価格高騰」が天の恵みとなっている。
国連(UN)の世界食糧計画(World Food Programme、WFP)のウガンダ事務所は、前年から、援助用食糧の米国からの輸入を減らして60%以上をウガンダ国内で買い入れるようになっており、国内の市場がにわかに活気づいている。農民の収入も増えている。
WFPの方針転換の最大の理由は、食糧価格の高騰だ。燃料費の高騰による輸送コスト高も、食糧の地元調達へと一層駆り立てている。
ウガンダ東部エルゴン山(Mount Elgon)のふもとにある小さなカプチョルワ(Kapchorwa)村でトウモロコシ、ジャガイモ、小麦、コーヒーを栽培しているポール・マサバ(Paul Masaba)さんは「WFPがわれわれ農民を救ってくれた」と話す。
カプチョルワの農業団体に加盟してWFPと契約を結ぶ前は、資金不足、低い生産性、市場の不在で「途方に暮れる」状態だったが、今や土壌は豊かによみがえり、今シーズンはWFPにトウモロコシ300袋を納入する予定だという。
また、WFPが定額で買い取ってくれるという点も農民にとっては大きな利点だ。以前は、同国の農業市場は活発とは言えず、定まった値段もなかったため、「中間業者」などが作物を安く買い入れて輸出業者に高値で売り、大きな利ざやを稼いでいた。
農業のグレース・チェベレン(Grace Cheberen)さんは「農民は搾取されてきた」と言う。「でも今は、公正な価格で取り引きされ、販路も開けた。わたしが育てた作物が正当に評価されていると感じる。子どもたちを学校にやることもできる」と語り、現在建設中の事務所兼店舗を指さした。
WFPは、慈善財団ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団(Bill and Melinda Gates Foundation)と提携して、アフリカの小規模農業団体から積極的に援助用食糧を買い入れる計画を進めている。
だが、ウガンダの農家のこうした活況も、一時的なものに終わる可能性がある。食糧価格の高騰は、同時に、肥料、種子、農業機械の燃料などの必要経費を押し上げているためだ。(c)AFP