【7月15日 IDO Securities】米財務省とFRBによるGSE支援策により、短期の流動性危機は回避されたという思惑を市場は好感し、米株は強含んで取引を開始したが、金融セクターに対する懸念は依然根強く、S&P500地銀株指数は10%以上急落。ファニーメイ、フレディマックの株価は時間外取引では大幅上昇、フレディマックの新発短期債への需要も好調であったが、両者の株価は結局前営業日比で下落となった。中長期的には公的資金注入も選択肢になり、米国の財政赤字拡大が意識される可能性もあり、イラン・イスラエル問題など地政学リスクも予断を許さない状況は継続している。VIXインデックスも上昇してきており、要注意。
 本日はUSバンコープ、ステートストリート、チャールズ・シュワブの決算発表が予定されているが、決算が弱い結果となれば、「米株下落→ドル下落」の展開となる可能性も想定しておきたい。今週以降、本格化する米金融機関の決算スケジュールは抑えておきたい。GMのワゴナーCEOがNY時間午前9時に記者会見を行うと報道されており、こちらも注目される。
 また注目のバーナンキFRB議長による金融政策に関する議会証言だが、成長リスクとインフレリスク、どちらをとるのかが注目点。金融市場が不安定さを見せる中、新たなTROPICAL DEPRESSIONの発生の兆しが確認されており、勢力を強め、進路をメキシコ湾岸にとるようなら、 NY原油が再び史上最高値を更新する可能性は高いと思われ、バーナンキ議長の難しい舵取りは続く。 この金融市場の不安定さを象徴するかのように、NY金は950ドルの上値抵抗をブレイクし、堅調に推移している。

(投資情報部 菊川弘之)
NPO法人日本テクニカルアナリスト協会検定会員(CFTe)ラジオNIKKEI(北浜流一郎・菊川弘之の朝一投資大学)をはじめ、時事通信等でアナリストの目、テクニカル分析情報を掲載。ブルームバーグTV、日経CNBCなど多数のメディアにも出演中。商品先物関係のアナリストとして著名だが、日経平均先物オプション取引や外国為替取引の分析でも定評がある。

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