【6月14日 AFP】(一部更新)米航空業界と旅行業界の調査会社が13日に発表した調査によると、記録的な原油高が航空会社の経営を圧迫、数社が倒産の危機にあり、「米国型の生活様式」を揺るがす可能性があるという。

 AirlineForecastsとBusiness Travel Coalitionが共同で行ったこの調査は、「原油価格高騰の結果、米国の航空業界は重大な危機にあり、最悪の事態に進んでいる」と述べている。

 調査はさらに、1バレルにつき130ドル(約1万4000円)近くの原油価格が続いた場合、大手を含めた米航空会社数社が今年後半から来年前半にかけて債務不履行に陥ると指摘している。

 米航空業界はジェット燃料の高騰と国内経済の悪化を受け、これまで保有機体の削減、人員整理、および航空運賃の値上げを行ってきた。

 最近では12日、米航空大手ユナイテッド航空(United Airlines)とUSエアウェイズ(US Airways)が最初の預け入れ荷物を有料とし、15ドル(約1600円)を課金すると発表したばかり。

 調査によると、原油価格が1バレルにつき130ドルで推移した場合、航空業界全体で年間300億ドル(約3兆2500億円)のコスト増となる。上位10社だけでも年間250億ドル(約2兆7000億円)コストが増加するという。また、10ドルの原油価格上昇で、旅客専門航空会社40社のコストは40億ドル(約4300億円)増加すると見込まれる。

一方で、航空運賃の値上げなどによる収入増は40億ドル(約4300億円)にすぎない。荷物預け入れなどのサービス有料化は業界全体で10億から15億ドル(約1100-1600億円)程度の収入増にとどまるという。

調査は、「一連の要因が、大手を含む数社が破たんに追い込まれる可能性を示唆する」と指摘し、「業界の再建は重要な国策となる必要がある」として、政府、議会、連邦機関、および州政府に対応策を求めている。

原油価格が1バレルにつき135ドルで推移した場合、業界全体で旅客機1000機以上の運航が停止され、8万人以上の人員削減が行われる可能性もあるが、それでも経営は好転しないだろう調査は指摘し、「米国の雇用、家族関係、商取引、地域社会、そして米国型の生活様式に多大な影響を与える」と警告している。(c)AFP/Veronica Smith