中国・台湾間ビジネス、雪解けの動きに期待高まる
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【6月2日 AFP】中国と台湾の緊張関係の劇的な雪解けを最も関心をもって見てきたのは、両国のビジネス関係者たちだろう。
■馬総統就任後の早い変化
その一人、上海(Shanghai)を拠点とするEarntexグループのTeng Wen-chung会長は、対中融和路線の馬英九(Ma Ying-jeou)氏が総統選で勝利した3月以降の急速な関係改善に驚いている。「こうした機会は珍しく、貴重だ」というTeng氏は、1986年から中国本土で不動産業からホテル経営、教育事業まで手広く手がけており、この安定が長く継続してほしいと期待している。
馬総統が属する国民党(Kuomintang、KMT)の呉伯雄(Wu Poh-hsiung)主席による前週の中国訪問は、過去60年で最もハイレベルの会談となった。6月中旬には10年以上途絶えていた中台対話が北京(Beijing)で再開される。
■突破口となる直行便開始、影響は広範囲と予測
台湾と中国本土間の週1回の直行便解禁と、中国から台湾への旅行解禁が、関係改善の最初の成果となるかもしれない。直行便開始によって最初に主な恩恵を受けるのは航空会社やホテル、飲食業だと予想されるが、長期的に見ればより幅広い分野に好影響が広がるとみられている。
北京で活動する台湾の投資企業を代表する組織、北京台湾資本企業協会(Beijing Taiwan-Funded Enterprises Association)のChen Kuoyuan氏は「大企業、特に開発研究(R&D)と技術の高い人員を必要とする企業にとって画期的な機会となるだろう」と語る。「台湾企業は、直行便が出入りする都市へのR&Dセンター設置の実現性を再検討するようになるだろう。また、中国で働こうという台湾のエンジニアやR&D専門家も増えるだろう。これによって双方の企業の競争力が高まり、より緊密に連携して国際市場を相手にできるようになる」
北京にある中国社会科学院(Chinese Academy of Social Sciences)の台湾研究者、Wang Jianmin氏は、直行便により中台企業のコスト削減と柔軟性向上が促されると期待する。「台湾企業の拠点配置は投資のすべてを本土に注がなければならなかったため多少ゆがんだところがあった。直行便がなかったからだ。しかし将来は例えば、本土に製造拠点を、台湾にR&Dセンターを配置することも可能になる」
■経済協定締結へ道開ける可能性
台湾でのプラス効果は間接的にも感じられると、台北に拠点を置くコンサルティング企業、Mega Wealth International Management ConsultantのBentham Hungマネジング・ディレクターはいう。「数多くの外国人投資家にとって、中台間には常に戦争というリスク要因があった。そうしたリスクがなくなったとは言わないが、大きく減ったとは言える」
長期的には、中国がすでに香港(Hong Kong)、マカオ(Macau)と結んでいる経済貿易緊密化協定(CEPA、Closer Economic Partnership Arrangement)と類似の協定が実現することを期待する台湾の企業家もいる。
中台協力の進展が期待できる分野の一つが金融だ。台湾の金融機関が支店や共同事業といった形で、中国で事業展開することは十分考えられる。一方で、中国企業が台湾の不動産セクターやサービス・セクターに投資することもありうる。
いずれにせよ長年にわたり政治的な凍結状態が続いてきたにもかかわらず、事業提携は発展し、1991年以降、政府の認可を受けた台湾から中国本土への投資は60倍近くに増え、2007年には99億7000万ドル(約1兆400億円)にも達した。
前述の北京台湾資本企業協会のChen氏は「政治は経済活動を妨害する道具ともなりうるが、個々の企業の発展をとめることはまったくできない」と述べる。「これは抵抗不可能な流れだ。いまや企業にとって、明日を考えることは以前よりもずっと容易だ」(c)AFP/Fran Wang
■馬総統就任後の早い変化
その一人、上海(Shanghai)を拠点とするEarntexグループのTeng Wen-chung会長は、対中融和路線の馬英九(Ma Ying-jeou)氏が総統選で勝利した3月以降の急速な関係改善に驚いている。「こうした機会は珍しく、貴重だ」というTeng氏は、1986年から中国本土で不動産業からホテル経営、教育事業まで手広く手がけており、この安定が長く継続してほしいと期待している。
馬総統が属する国民党(Kuomintang、KMT)の呉伯雄(Wu Poh-hsiung)主席による前週の中国訪問は、過去60年で最もハイレベルの会談となった。6月中旬には10年以上途絶えていた中台対話が北京(Beijing)で再開される。
■突破口となる直行便開始、影響は広範囲と予測
台湾と中国本土間の週1回の直行便解禁と、中国から台湾への旅行解禁が、関係改善の最初の成果となるかもしれない。直行便開始によって最初に主な恩恵を受けるのは航空会社やホテル、飲食業だと予想されるが、長期的に見ればより幅広い分野に好影響が広がるとみられている。
北京で活動する台湾の投資企業を代表する組織、北京台湾資本企業協会(Beijing Taiwan-Funded Enterprises Association)のChen Kuoyuan氏は「大企業、特に開発研究(R&D)と技術の高い人員を必要とする企業にとって画期的な機会となるだろう」と語る。「台湾企業は、直行便が出入りする都市へのR&Dセンター設置の実現性を再検討するようになるだろう。また、中国で働こうという台湾のエンジニアやR&D専門家も増えるだろう。これによって双方の企業の競争力が高まり、より緊密に連携して国際市場を相手にできるようになる」
北京にある中国社会科学院(Chinese Academy of Social Sciences)の台湾研究者、Wang Jianmin氏は、直行便により中台企業のコスト削減と柔軟性向上が促されると期待する。「台湾企業の拠点配置は投資のすべてを本土に注がなければならなかったため多少ゆがんだところがあった。直行便がなかったからだ。しかし将来は例えば、本土に製造拠点を、台湾にR&Dセンターを配置することも可能になる」
■経済協定締結へ道開ける可能性
台湾でのプラス効果は間接的にも感じられると、台北に拠点を置くコンサルティング企業、Mega Wealth International Management ConsultantのBentham Hungマネジング・ディレクターはいう。「数多くの外国人投資家にとって、中台間には常に戦争というリスク要因があった。そうしたリスクがなくなったとは言わないが、大きく減ったとは言える」
長期的には、中国がすでに香港(Hong Kong)、マカオ(Macau)と結んでいる経済貿易緊密化協定(CEPA、Closer Economic Partnership Arrangement)と類似の協定が実現することを期待する台湾の企業家もいる。
中台協力の進展が期待できる分野の一つが金融だ。台湾の金融機関が支店や共同事業といった形で、中国で事業展開することは十分考えられる。一方で、中国企業が台湾の不動産セクターやサービス・セクターに投資することもありうる。
いずれにせよ長年にわたり政治的な凍結状態が続いてきたにもかかわらず、事業提携は発展し、1991年以降、政府の認可を受けた台湾から中国本土への投資は60倍近くに増え、2007年には99億7000万ドル(約1兆400億円)にも達した。
前述の北京台湾資本企業協会のChen氏は「政治は経済活動を妨害する道具ともなりうるが、個々の企業の発展をとめることはまったくできない」と述べる。「これは抵抗不可能な流れだ。いまや企業にとって、明日を考えることは以前よりもずっと容易だ」(c)AFP/Fran Wang