【5月28日 AFP】長引く住宅市場の不振や歴史的な原油高によるインフレ圧力――。米国民は、米経済の先行きに対しますます懸念を強めている。27日に発表された各種調査結果で明らかになった。

 過去2四半期、米経済の成長率は年率換算で0.6%と鈍化しており、一部のエコノミストは景気後退局面に入る可能性が高いとの見方を示している。さらに、住宅販売と消費者信頼感指数の最新調査結果から、住宅価格や雇用確保、燃料費の高騰を懸念する米国民にとって、経済的な問題が切迫したものになりつつあることが明らかになった。

 米商務省が27日に発表した4月の新築住宅販売戸数は、季節調整済みの年率換算で前月比3.3%増の52万6000戸と予測を上回る結果となった。だが、前年同月比では42%減と大幅に落ち込んでおり、新築市場よりも規模の大きい市場中古住宅市場は依然として不振が続いている。米住宅市場の不振は、ここ数十年で最悪といわれている。

 調査会社「グローバル・インサイト(Global Insight)」のエコノミスト、パトリック・ニューポート(Patrick Newport)氏は「新築住宅の販売は、引き続き難しい状況だ。大胆な価格設定にもかかわらず、新築住宅の半分が8か月後も売れ残っている」と語った。

 27日の原油価格は1バレル=128ドルで、1バレル=135ドルを超える水準からは下落したものの依然として高い水準で推移している。ガソリン価格の高騰は、消費者だけでなく米自動車企業にも深刻な影響を与えている。

 米国が今年、景気後退局面に突入するのか、それとも年内は持ちこたえるのか、エコノミストの見方は2つに割れている。米国の景気後退は避けられないとする見方がある一方、数か月前に考えられていたよりも回復力があるとの指摘もある。

 米連邦準備制度理事会(Federal Reserve BoardFRB)は経済成長の鈍化に対し、短期金利の引き下げで対応してきた。現在の米政策金利は2.0%となっているが、エコノミストの間ではFRBがこれ以上の金利引き下げを当面実施することはないと見られている。(c)AFP