【3月3日 AFP】(写真追加)ロシアの政府系天然ガス独占企業ガスプロム(Gazprom)は3日、隣国ウクライナとの価格交渉が物別れに終わり、同国へのガス供給を同日から25%削減したと発表した。ガスプロム側は、ウクライナを経由している欧州への供給分には支障ないとしている。

 ガスプロムのセルゲイ・クプリヤノフ(Sergei Kupriyanov)広報担当は「経済利益を確保するため、ガスプロムは本日午前10時(日本時間午後4時)からウクライナ向けの供給を25%削減した」と発表した。

■「EU供給分には影響なし」

 またウクライナは、ガスプロムから欧州連合(EU)への供給分についての主要な経由ルートでもあるが、「欧州の消費者への供給は引き続き完全に継続する」とクプリヤノフ氏は述べた。

 ロシアは2006年にもウクライナへのガス供給を一時停止したことがあり、当時は欧州数か国でドミノ式に混乱が生じた。2006年の停止時、ロシアはウクライナに対し、欧州向けの供給分を自国の不足分解消に転用していると非難していた。

■ウクライナは備蓄ガスで削減分を補填へ

 ウクライナの国営企業ナフトガス(Naftogaz)の広報担当Valentin Zemlyansky氏は、今回はそうした事態は発生しないと明言し、ウクライナが「欧州への供給分として確保されたガスを集めることはない。われわれには今回の不足分をまかなうだけの備蓄がある」と語った。

■双方の発表内容に食い違い

 ガスプロム側は1日当たり4000万立方メートルの供給削減を発表しているが、Zemlyansky氏によるとナフトガスがガスプロムから受け取った電信では、1日当たり3000万立方メートルの削減と通告されたという。

 ガスプロムのクプリヤノフ広報担当によると、直近の交渉で問題になっていたのは、ガスプロムが追加供給した19億立方メートル、6億ドル(620億円)相当分の支払いについて。ガスプロム側はウクライナの未払いを主張している。

 2月12日には首脳会談で、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)露大統領とビクトル・ユーシェンコ(Viktor Yushchenko)ウクライナ大統領が問題解決に向けて合意したと発表された。しかしロシア政府によると、ウクライナによる過去数か月の未払い分について食い違いが残っていたとされる。

 ウクライナのガスの総輸入量のうち4分の1は、ロシア産天然ガスが占めている。そのほかのガスは旧ソ連の中央アジア諸国から、ロシア国内を経由するパイプラインを通じて輸入している。(c)AFP/Conor Humphries