【2月24日 AFP】アジア最大の航空見本市「シンガポール・エアショー(Singapore Airshow)」で20日、航空機製造大手の欧州エアバス(Airbus)、米ボーイング(Boeing)両社幹部は、経済成長を続けるアジア太平洋地域市場の重要性は今後20年間でさらに高まるだろうとの見方を示した。
  
 米国と欧州を抜き世界最大の市場になるとみられる同地域で、両社はしのぎを削っている。

■エアバス

 エアバスのジョン・リーヒー(John Leahy)営業担当最高執行責任者(COO)は「21世紀は複占の時代だ。ボーイングとエアバスは市場を二分している。これは非常に興味深く安定した状態だ」と語る。

 リーヒー氏によると航空機市場は1970年に比べて9倍も成長しており、両社が分け合うのに十分な需要があるという。

 現在アジアが世界の航空交通量に占める割合は4分の1だが、2020年までには米国と欧州を抑え3分の1にまで拡大するとみられている。

 一方、米国は現在の31%から24%へ、欧州は27%まで縮小する見通し。

 リーヒー氏は、先進国の人口が10億人であるのに対し、アジアを中心とする発展途上国の人口が56億人であることに注目、アジア市場を「急激に拡大している市場」とみている。

 エアバスが受注している3600機のうち、52%は発展途上国から受注しており、「この成長市場でわが社は好位置につけている」とリーヒー氏は自信を示す。

■ボーイング

 一方のボーイングもしっかりと足場を確保し、エアショーではインドネシアの航空会社2社から大量発注を受けた。

 格安航空会社ライオンエア(Lion Air)は737-900ER型機56機を発注し、さらに50機の追加発注権を得た。これで同社の同型機は178機となり、ボーイングによると世界最大のオペレーターとなった。

 ガルーダ(Garuda)航空は国際線拡大のため777-300ER型機10機を発注した。うち4機は新規で、カタログ価格にすると10億ドル(約1000億円)以上だという。残りの6機は以前発注していたB777-200型機を変更した。

 ボーイング民間航空機部門セールス担当バイス・プレジデントのディネッシュ・ケスカー(Dinesh Keskar)氏は、インド、インドネシア、マレーシアがけん引役となり、南および東南アジアからの受注は今後20年で3000機以上、1030億ドル(約11兆円)になるとみている。

 同氏によるとインドを中心に東南アジアに向けて1940機、西南アジアには1067機を納入する。その大部分は格安航空向けの単通路型。急成長した格安航空会社は、航空業界を大きく変化させた。

 将来的にマレーシアとインドネシアへの納入は、東南アジア全体の38%に相当する740機に到達するとみられている。

 同氏は、航空業界の規制緩和に伴い、西南アジアではインドが急成長をけん引すると予想している。

 インドは今後20年間で860億ドル(約9兆円)に値する911機を納入する見込みで、74%は単通路型だ。

 ケスカー氏によると、ボーイングは前年度、インドが新しく納入した航空機の53%を占め、エアバスの47%を上回った。(c)AFP/Martin Abbugao