【2月20日 AFP】東芝(Toshiba)は20日、ソニー(Sony)の高性能半導体生産事業を約900億円で買収すると発表した。また両社は共同出資による新合弁会社の設立にも合意した。

 ライバルとして各分野でし烈な競争を繰り広げる両社だが、この合意により、高性能半導体生産分野で共同出資会社を設立する。新会社の出資比率は東芝側が60%、ソニー側が40%。ソニーセミコンダクタ九州の長崎テクノロジーセンター(諫早市)の事業を東芝側が買収する。同センターでは、ソニーの次世代ゲーム機プレイステーション3(PlayStation 3)向け高性能半導体も生産されている。新合弁会社に東芝が買収した生産設備を貸し出す形で、4月から営業を開始するという。

 ソニーは前年10月、経営効率化の一環として、東芝に半導体生産施設を売却することで基本合意したと発表していた。ソニーは初の外国人経営者、ハワード・ストリンガー(Howard Stringer)会長兼CEOを迎え、非主力部門の資産のスリム化を目指すと同時に、薄型テレビやデジタルカメラの売り上げが好調な主力の電化製品分野の再強化を進めている。

 ソニーにとっては半導体生産ラインの売却は、任天堂(Nintendo)の次世代ゲーム機Wii(ウィー)との競争激化の中で巨額の開発費を投じたプレイステーション3の生産コスト削減にもつながる。

 一方の東芝は、携帯音楽プレーヤー用の半導体メモリなど、自社の成長分野である半導体生産への集中を加速する方針だ。東芝はこの発表の前日、次世代DVD規格「HD DVD」事業からの撤退を正式発表していた。(c)AFP