【2月14日 AFP】多くの貧困国や新興国では、広く普及した携帯電話で銀行インフラの整備の遅れを補うことが、新たなビジネスチャンスとなっている。携帯電話事業者はこの機会を利用しようと躍起になっている。

 英携帯電話サービス大手ボーダフォン(Vodafone)は11日、スペインのバルセロナ(Barcelona)で開催されている通信・インターネット・報道関連業界の展示会「GSMA Mobile World Congress 2008」で、アフガニスタンで送金サービスを開始することを明らかにした。同社はケニアで類似の事業を成功させている。

 2007年3月にサービスが開始されて以来、携帯電話利用者1000万人のケニアでは、推計160万人がボーダフォンの送金サービスを利用しているという。同国には銀行の支店が400店舗、現金自動預払機が600台しかない。

「まだごく初期の段階だが、新興市場での銀行サービスの普及率の低さと急速な携帯電話普及速度を見れば、可能性が非常に大きいことが分かる」と同社の支払い問題対策担当者は語る。

 世界的な携帯電話業界団体GSMアソシエーション(GSM Association)の推計によると、世界中でこのような送金サービス実施例は10件ほどあり、約1000万人が利用しているという。

 ボーダフォンはインドやアフリカ諸国でも間もなくサービスを開始する構えだ。サービスでは送金のほか、現金の引き出し、請求書やローンの支払いなどが瞬時に行えるという。利用者が現金を預け、受取人にショート・メッセージ・サービス(SMS)で送金額を知らせると、全国どこの携帯電話ショップでも現金を受け取ることができるという。

 このサービスでの携帯電話事業者の利点は3つある。少額だが手数料を受けとれること、新規ユーザーを呼び込めること、携帯電話利用量を増やせることだ。

 一方、現段階での問題、あるいはビジネスチャンスは、送金可能範囲が国内に限られていることだ。ケニアなどでは海外で働き、定期的に自国に送金する労働者も多い。

 この問題が解決されれば、2012年までに資金の流れは現在の4倍の1兆ドル(約107兆円)に達するとGSMは予想している。(c)AFP/Katell Abiven