【1月29日 AFP】フランス南部のカンヌ(Cannes)で27日、世界最大規模の国際音楽産業見本市MIDEMが5日間の日程で開幕した。参加した業界関係者らは、合法無料音楽ダウンロードサービスや発展しつつある中国市場が、低迷する音楽市場における現状打開のきっかけとなることに期待を寄せている。

 横行する違法音楽ダウンロードがCD市場に打撃を与え続け、多くのレコード会社が生き残りと新たな収入源を求めて苦しむ中、今年の見本市は悲観的な雰囲気になると予想されていた。

 しかし、多くのレコード大手が広告収入を軸にした音楽システムや新たな商用音楽チャンネルを受け入れ始めたとの情報が参加者の耳に届くと、雰囲気は予想よりずっと明るいものになった。

 さらに有望な新市場である中国も、現在の音楽業界で大きな旋風を巻き起こしている。同見本市のディレクター、Dominique Leguern氏はAFPに対し、「この危機的な時期に、音楽の黄金郷といえる国(中国)をMIDEMに引き入れることは非常に重要なことだ」と語る。

 中国文化省マーケティング部門高官はMIDEMでの記者会見で、中国の音楽市場は現在約20億ドル(約2130億円)規模に上ると述べた。また、国際監査法人プライスウォーターハウスクーパース(PricewaterhouseCoopersPwC)の最近の調査によると、音楽業界を含む同国のエンターテインメント・メディア市場は2010年までに900億ドル(約9兆6000億円)から1370億ドル(約14兆6000億円)規模に膨らむと予想されている。

 一方、中国ではオンラインによる海賊行為もまん延している。

 国際レコード産業連盟(International Federation of the Phonographic IndustryIFPI)の年次報告によると、中国は違法ダウンロード量が世界最多の国の1つで、デジタル海賊行為の割合は市場全体の99%を超えているという。これに対し中国側は、数値は誇張されていると反論、同国の音楽市場を苦しめている横行する海賊行為を減らす措置を進める方針を示した。

 企業が今後、合法的に無料で広告付き音楽をインターネット経由で提供することも、海賊行為の対策になりそうだ。

 ソーシャルネットワーキングサイト(SNS)のimeemは2007年、米国でこの動きを代表する新たな合法的サービスを立ち上げた。登録しているサービス利用者の大半は14歳から30歳の若年層だ。ユーザーはインターネットからリアルタイムで音楽や音楽ビデオを聞いたり友人と共有したりできる。同社はわずか1年8か月で2000万人のユーザーを獲得したという。(c)AFP