【1月24日 AFP】五輪開催へ向けて供給の先細りが懸念される北京(Beijing)市の水不足を解消するため、大規模プロジェクトの一環として今月、中国第2の河川、黄河(Yellow River)からの引水工事が開始される。

 国営大衆日報(Dazhong Daily)によると以降3か月間で、古代に建設された運河399キロメートルを通じ、黄河から最大1億5000万立方メートルの水を北京市の水源である同市南部の淡水湖、白洋淀(Baiyangdian)に引き込む。これにより、白洋淀の慢性水不足を解消しようという狙いだ。同時に白洋淀には4つの貯水池から自然に水が流れ込んでいるが、それらの貯水池からも北京に水を供給する計画だ。

 同紙が引用した黄河の治水当局の発表によると、工事は中国東部の山東(Shandong)省聊城(Liaocheng)市から開始され、北京への誘導には1400年前に開通された「大運河(Grand Canal)」を使用するという。

 こうした引水計画が始まったのは2006年11月で、このときは聊城市付近で4億7900万立方メートルの水を迂回させ、1億立方メートルを白洋淀へ引水した。

 一方、五輪でヨット競技が行われる山東省青島(Qingdao)市へ黄河の水を迂回させる計画は前週完了したと報じられた。この計画では黄河から1億500万立方メートルの水が迂回された結果、青島市の貯水池、棘洪灘(Jihongtan)の水量が約7000万立法メートル増加した。

 中国北部では需要急増や干ばつ、温暖化などによる水不足が深刻。白洋淀は北京郊外約70キロメートルに位置するが、中国経済の活況とともに同市の水使用量が急増、水質汚染も急激に拡大する中、10年以上にわたり環境が悪化し打撃を受けており、北京市の1人当たりの水使用量は全国平均に比べ、すでにかなり少ない状態だ。

 黄河は中国で2番目に流量が多く、象徴的にも文化的にも重要だが、近年ではその黄河自身も水の使用量増加の影響を受け、長期にわたって水枯れが続いていた。(c)AFP