【1月22日 AFP】失速する米経済の回復を目指し、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領が18日に発表した個人および企業減税を中心とする景気刺激策について、投資家らは失望感を表し、21日の世界の株式市場は軒並み急落している。

 景気刺激策に期待したアジア市場は前週末、いったん値を戻していたが、米市場の冷めた反応を受けて21日は取引開始直後から全面安となっている。同日の日経平均株価は、前週末比3.86%安で引け、2005年10月以来の低い水準となった。

 また、同日のロンドン(London)株式市場ではFTSE百種総合株価指数(FTSE 100)が同2.22%安を記録し、フランクフルト(Frankfurt)市場でも同2.94%安となった。パリ(Paris)市場では同2.49%下落し、2006年8月以来初めて5000ポイントを割っている。

 三菱東京UFJ銀行(The Bank of Tokyo-Mitsubishi UFJ)ロンドン支店のデレク・ハルペニー(Derek Halpenny)氏は「投資家らは米経済救済策として一時的な減税措置にどれだけ効果があるか疑念を抱いている。経済成長の急激な減速とあいまり、大量の売り注文が生じている」と指摘した。
 
 一方、外国為替市場の反発は穏やかで、通貨関係者らは株式の急落は通常の反発で長くは続かないとみている。

 各国株式市場の急落は、18日にブッシュ米大統領が発表した景気刺激策が、1400億ドル(約15兆円)規模の減税措置が中心で、市場がこれに反発した形。シンガポールのフレイザー・セキュリティーズ(Fraser Securitie)の調査部門責任者Najeeb Jarhom氏はこの刺激策について「手を打ったのが遅すぎるし、市場への影響力に欠けるとみなされている」と述べ、データによれば米経済は「景気後退に向かっているか、すでに不況に入っている」と警告する。(c)AFP