【1月6日 AFP】米格付けムーディーズ・インベスターズ・サービス(Moody’s Investors Service)は5日、インドの自動車タタ・モーターズ(Tata Motors)が米フォード(Ford)傘下の英ジャガー(Jaguar )とランドローバー(Land Rover)の買収決定をした場合、タタ・モーターズの格付け引き下げを検討すると発表した。

 タタ・モーターズは紅茶から鉄鋼まで手がけるインドの複合企業の自動車部門。同社は3日、ジャガーとランドローバーの売却先の最有力候補に選ばれたと報じられた。

 ムーディーズのエリザベス・アレン(Elizabeth Allen)副社長は声明で、タタ・モーターズが両社を買収した場合、経営の遂行と統合に一定の重荷を抱えるだろうとの見方を示した。

 ムーディーズは、現在タタ・モーターズが持つBa1の格付けを引き下げの方向で見直すという。 同社の格付けではBa1は投資対象としての適格性に1段階劣るとされる。

 タタ・モーターズはこれまで、インド国内の自動車産業で低・中価格帯の大衆車を得意としてきたが、アレン氏は「ジャガーとランドローバーの買収でタタ・モーターズは世界市場での高級車の競争にさらされる」と述べ、「タタ・モーターズに欠ける経験やノウハウが実質的に同社の経営上のリスクを引き上げる」と指摘する。

 同氏はさらに、「長期的には、この買収でタタ・モーターズが、技術の向上と車種拡大に成功した場合、インド国内での1自動車企業から、世界的な自動車製造メーカーに成長する可能性もある」というが、「中・短期的には難題が山積している」との見方を示した。(c)AFP