【1月4日 AFP】2日のニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)で、米国産標準油種(WIT)2月渡しが一時、史上初めて1バレル100ドルに達し、原油価格は5年で4倍に跳ね上がった。政情不安や急増するアジア需要に加え、投資ファンドの参入などをアナリストは背景に挙げている。

 また、2日の外国為替相場で再び下落したドルも一因に挙げられる。より強い通貨を扱う買い手にとって、原油が安くなるからだ。

 アナリストの中には、主要原油輸出国イランと、そのイランの核計画疑惑をめぐり、軍事攻撃も辞さない構えを示していた米国との緊張が和らいだため、2008年に政情不安要因は、影を潜めるとの見方もあった。

 しかし、アフリカ最大の原油輸出国ナイジェリアの混乱やパキスタン情勢の不安定化、さらにはケニア大統領選後の暴動によって、ディーラーたちがここ数日間、リスクプレミアムを上乗せして原油取引の値段を付けた。

 03年には22-28ドルだった原油価格は、2日に史上初めて3けたの大台に上昇した。

 原油高に関しては一部、単純な需要供給の法則で説明がつく。生産者の過少投資、インドや中国の著しい経済発展の影響を受け、需要が供給を上回った。

 そして、原油生産システムの安全性を保つ緩和材だった余剰生産分が減少。1国の供給が滞れば、ほかの国がカバーすることができなくなった。

 このことが、原油供給不足の危険性を増加させ、現在の供給分の価値がさらに高まった。
 
 さらに、もう一つの緩和材だった石油備蓄が、米国など先進工業国で、長期間保っていた平均量以下にまで減少した。(c)AFP/Veronique Dupont