【12月4日 AFP】過去3年間にわたって原油価格は上昇し続け、現在は1バレル=100ドルという記録的高値を目前にしている。専門家からは世界は「第3次石油危機」にさらされているとの声もあがっている。

 ただ、1973年や1980年の石油危機と異なる点は、米国の住宅ローン問題などの懸念もあるにもかかわらず、世界経済が堅調に推移していることだ。

 英ロンドン(London)のCentre for Global Energy Studiesのチーフ・エコノミスト、Leo Drollas氏は「第3次石油危機を迎えていることは間違いない」と語る。

 石油輸出国機構(Organization of Petroleum Exporting CountriesOPEC)の加盟国は、現在の原油価格高騰は需給関係を反映したものではなく、むしろ、イランの核開発問題などの地政学的な要因が大きいと見ている。

 原油価格は前月、史上最高値となる1バレル=99ドル22セントを記録したが、OPECは5日にアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ(Abu Dhabi)で臨時総会を開き、原油生産量について協議を行う。

 フランスの国立エネルギー研究機関であるIFPのエコノミスト、Francois Lescaroux氏は「過去2回の石油危機は、供給サイドの要因によるものだとの意見が支配的だ」と指摘する一方、「今回は誰もが需要サイドの要因で価格上昇を招いていると考えている」と語る。

 猛烈なスピードで発展している中国とインドが原油需要を大きく高めているが、経済的な影響に関していえば、現状の原油価格の高騰は世界各国で価格高騰の衝撃が吸収されていると指摘。

「今回の石油価格高騰は、過去の石油危機と比べてインフレや不況といった悪影響を伴っていない。これは、過去の石油危機の経験を踏まえて、特に先進国において、原油価格高騰の影響を和らげることに成功しているということだ」と指摘した。(c)AFP/Delphine Dechaux