【12月3日 AFP】ソニーの業績が上向きつつあるようだ。発売から1年の間苦戦していたゲーム機「プレイステーション3(PlayStation 3PS3)」の売れ行きがついに好転し、薄型テレビでは「発明のソニー」復権の兆しが見えている。

 業績は改善されつつあり、デジタルカメラなどの製品も好調な売れ行きを記録、今年の営業利益は6倍強に拡大する見通しだ。

■リストラと事業再編で復活、オイルマネーも注目

 ハワード・ストリンガー(Howard Stringer)会長兼CEOが2005年に就任して以来、ソニーは何千人規模のリストラを断行し、金融子会社の上場を果たし、半導体事業は東芝(Toshiba)への売却を決めた。

 オイルマネーで潤う中東のファンドも同社に注目している。ドバイ(Dubai)の投資ファンドが最近、ソニーグループの相当株を取得。これを受けて同社株は前週に比べ14%も高騰した。

 ソニーの発表によると、PS3は米国で100ドル値下げした後、感謝祭の週末で3倍以上を売り上げた。また日本でも、出版社のエンターブレイン(Enterbrain)が30日、11月の国内販売台数が初めて任天堂(Nintendo)のゲーム機「Wii(ウィー)」を上回ったと発表している。

■PS3を足がかりにゲーム部門の赤字削減へ

 PS3は半導体の高性能と超リアルなグラフィックスにこだわったゲーム機として2006年に発売された。しかし、大衆向けに使いやすさを追求し、価格も大幅に安いWiiに大きく水を開けられていた。

 アナリストの予想では、日本でPS3がWiiを上回る状況はそれほど長く続かないかもしれないが、販売増加と製造経費削減に伴い、ソニーのゲーム部門の赤字は徐々に減る見通しだ。

 KBC証券(KBC Securities)のアナリスト、上出浩史(Hiroshi Kamide)氏は、ソニーが失われた地盤を取り戻しつつあると分析し、同社が本来の姿を取り戻すところまでは行かないにしても、2007年はPS3にとって良い出発点になりそうだと見ている。

 マッコーリー証券(Macquarie Securities)のアナリスト、デビッド・ギブソン(David Gibson)氏は、最近の販売増加について「PS3事業の業績改善を示す兆候だ」と解説している。(c)AFP/Daniel Rook