【10月28日 AFP】27日から開催されている第40回東京モーターショー2007(Tokyo Motor Show)では、シャンパンが振る舞われ、キャンペーンガールが各社の新車をアピールしている。

 しかし、自動車メーカーが不安になるほど注目を浴びている車もある。華やかなモーターショーの陰では、自社の企業秘密を守ろうとするメーカーと産業スパイの間で静かな攻防戦が繰り広げられている。

 自動車産業の関係者によると、最先端企業の技術を求めて、海外からさまざまな自動車メーカーや部品メーカーが訪れるという。今回のモーターショーでは中国の自動車メーカーや部品メーカーは出展していないが、中国およびアジアからは多数の人物が最新デザインの情報を得るため送り込まれているとみられる。

 モーターショーでは、発売されたばかりの新モデルをじかに体験することができる。それを最大限に利用して、まだ日本国内でしか販売されていない車の展示場では、2人の男性が前部座席を陣取りダッシュボードと内装のアップの写真を撮っている。別の場所では、男性が車の前部からドアの下端まで接近してシャッターを切り続け、最後にはしゃがみこんで車の底面も撮影している。

 通常、自動車メーカーは競合他社の車を買って分解するが、底面のサスペンション部分などは、新しいコンセプトカーが実現間近なのか見せ掛けだけなのかを見分けるポイントになるため、見たがる人は多いという。

 もちろん、メーカー側も度を超えた見物への対策を取らないわけはない。車両のすぐそばに「製品説明をするためのスタッフ」を配置したり、目立つが手の届きにくいステージや台の上に車を展示したりする。ある報道関係者は、「普通の店でも、盗まれやすいガムやあめはレジ付近にある。それと同じこと」と語る。また、ピカピカの床はカメラのフラッシュを反射させ、車の底面の撮影を困難にする。

 自動車メーカーが特に神経質になっているのは、中国および韓国の自動車メーカーだという。

 しかし、このような「スパイ活動」は、1960年代にまさに日本人がやっていたことだ。日本の自動車メーカーはいま、まだ少し先のことになりそうだが、中国製の自動車が日本で販売される日が来ることに神経を尖らせている。(c)AFP/Miwa Suzuki