【10月26日 AFP】複数の経済専門家が25日に明らかにした見解の中で、中国経済はかつてないほど世界経済との一体化を強めており、過去数か月にみられた減速傾向は、中国政府の政策効果というよりも、むしろ世界市場全体の冷え込みに負うところが大きいと分析した。

 中国国家統計局(National Bureau of StatisticsNBS)によると、2007年第3四半期の中国経済の成長率は11.5%で、第2四半期の11.9%よりも緩やかなペースとなった。


■世界経済との連動強まる

 米金融機関シティグループ(Citigroup)香港支店のエコノミスト、黄益平(Huang Yiping)氏は「投資傾向を見ると、第2四半期と第3四半期にとりわけ大きな違いはみられない。故に経済成長率の変化は、原因があるとすれば、海外の経済変動に影響されたものだと考える」と分析する。

 中国政府は今年すでに5回に及んだ金利引き上げなどの政策に、市場の冷え込みが多少加わってかじ取りに成功し、経済の過熱を避けることができたと自負する。統計局の李暁超(Li Xiaochao)報道官は北京(Beijing)での会見で、「中央政府が導入したマクロ政策の効果で、経済が急成長から過熱へと移行するのを防ぐことができた」と語った。

 しかし、減速の主な要因は世界経済だとする見方は、第3四半期の純輸出の落ち込みが中国経済全体に反映したとする推測と合致する。

 米投資運用会社ゴールドマン・サックス(Goldman Sach)によると、第3四半期、中国の名目国内総生産に純輸出が占める割合は17%となり、第2四半期の25%から減少。2006年序盤以来、最低の水準となった。これは、世界経済の成長率が緩やかに減速するとの観測が強まった時期と一致する。

 米国の低所得者向け住宅融資(サブプライムローン)の焦げ付き問題に端を発した金融市場の混乱を受け、国際通貨基金(International Monetary FundIMF)は10月初め、2008年の世界経済成長率見通しをこれまでの5.2%から4.8%に下方修正した。

 エコノミストによると、とりわけ中国の対米輸出が年率10%の伸び率にとどまっている主要因は、米国経済の軟化である可能性が大きいという。


■世界経済の変動に対し脆弱に

 李統計局報道官も、中国経済と世界経済の一体化がますます深まっていることを認める。

 「約30年間にわたり改革と開放を続けてきた結果、中国と世界経済の関係はかつてないほど緊密になり、相互に与える影響も徐々に大きくなっている。いずれは、世界経済における不確定要素が国内経済の不安化をもたらすようになるだろう。われわれは世界経済の変動を注視して起こりうる影響を検討し、必要な措置を取っていく」(李氏)。

 中国の世界に対する依存度を強調しすぎるべきでないことは明らかで、国内には13億人の国民が支える巨大市場があり、国民経済も徐々に豊かになりつつある。さらに経済活動の80%は国内に源泉がある。

 しかし、間もなく6年目を迎える世界貿易機関(WTO)への加盟の影響が大きいことも事実で、現在、中国国民の数百万人の賃金を支えるのは、詰まるところ海外の消費者だともいえる。

 英スタンダードチャータード(Standard Chartered)銀行の上海(Shanghai)支店エコノミスト、スティーブン・グリーン(Stephen Green)氏は、現在の中国経済について「世界経済の減速に対して非常に脆弱(ぜいじゃく)だ。5年前と比較してかなり弱くなっている」と警告する。また、過去5年間に増えた雇用の多くは、輸出部門におけるものだと指摘する。

 証券会社リーマン・ブラザーズ(Lehman Brothers)のエコノミスト、孫明春(Sun Mingchun)氏は、今後数か月のうちに中国経済と外部との連動がさらに明確になる可能性は大きいという。「世界経済の成長率減退とこれまでの(中国政府の)引き締め政策の影響が相まって、2007年の第4四半期と2008年の中国経済は大きな影響を受ける可能性がある」と警告している。(c)AFP/Peter Harmsen