【10月22日 AFP】世界銀行(World Bank)のロバート・ゼーリック(Robert Zoellick)総裁は、21日開催された総会で、農業を貧困対策の中心に据えると同時に、これ対し民間金融機関を活用する方針を表明した。

 ゼーリック総裁は政策を決定する開発委員会で「アフリカからのさまざまなニーズに応えられる21世紀の『緑の革命』が必要だ」と指摘。新たな対策は、農業の脆弱(ぜいじゃく)性に対し援助を行っていく一方、技術研究への投資の拡大、持続可能な土地管理、市場機会の強化政策などから手を付けていくと述べた。

 ゼーリック総裁の発議は、交際相手の女性を厚遇していたことが発覚して退いたポール・ウルフォウィッツ(Paul Wolfowitz)前総裁の後任として6月に就任して以来、初めて出された提案の1つ。

 総裁は政策顧問らに対し「世界の貧困層の75%が農村部に住んでおり、農業の効率改善が世界の貧困を克服するために重要だ」と説明した。同総裁によると、今週発表される「世界開発報告(World Development Report)」では、極貧層の所得向上において、農業部門の成長は他の部門の4倍の効果があることが示されるという。

 同報告書で世銀は、およそ9億人が1日当たり1ドル以下の暮らしを強いられていると見積もられている貧困国の農業部門への融資拡大を掲げている。貧困国への融資は1980年代から1990年代は減少していた。同報告書によると農業部門への融資は4年前から取り上げられ、今後も拡大する見込み。2007年は総額31億ドル(約3534億円)に達するとみている。(c)AFP/Veronica Smith