【10月16日 AFP】「当機にファーストクラスは存在しません。あるのは、『スイートクラス』です」―シンガポール航空(Singpore Airline)の客室乗務員が世界最大のジェット旅客機エアバスA380(Airbus A380)の機内を紹介するときの決まり文句だ。

「ぜいたくと安らぎの新基準」と銘打った同機の15日の機内初公開で、シンガポール航空の乗務員は口々にこのせりふを繰り返した

 最高級の12席には、それぞれ23インチの薄型テレビ、フランスのデザイナー、ジバンシー(Givenchy)のシーツ、座席とは別に体を完全に横たえることができるベッドがついている。

 金銭に余裕のあるカップルなら、2つのスイートクラスを合わせてダブルベッドにし、2人の世界に浸ることもできる。

 ビジネスクラスも業界最大の横幅87センチのゆったりとした座席を備え、エコノミークラスも足場が広く、広い客室が確保されている。

 2階建て、600平方メートルの客室は、エコノミークラスのみの仕様なら853座席を置くことが可能だが、シンガポール航空は471座席に抑えた。

 機体の前端部と後端部に階段がついて1階と2階を結び、スイートとビジネスクラスの乗客はセルフサービスのバーも利用できる。

 2000年、エアバス380の全容が公開された当時には、機内にレストラン、ジム、シャワー、美容室、カジノがつくといった夢が飛び交った。シンガポール航空のA380には、そのいずれも存在しない。

 代わりに同社は、広い空間と快適さにより多くを支払う余裕のある乗客を念頭に、装飾品に凝り、機内を明るくするための花を飾るスペースなどを確保した。

 8時間のシンガポール=シドニー間航路に今月28日から就航するA380のスイートクラスの価格は、ボーイング747(Boeing 747)のファーストクラスよりも4割から8割高めに設定されている。スイートクラスで8000ユーロ(約133万円)となり、1時間の飛行あたり1000ユーロ(約16万7000円)を支払う計算になる。(c)AFP/Adam Plowright