【10月15日 AFP】(写真追加、一部訂正)2007年ノーベル経済学賞の受賞者が15日に発表された。複雑な経済的・社会的タスクを解決する「メカニズム・デザイン理論」を構築した業績で、米国ミネソタ大学のレオニド・ハーウィックス(Leonid Hurwicz)名誉教授、プリンストン高等研究所のエリック・マスキン(Eric Maskin)氏、シカゴ大学のロジャー・マイヤーソン(Roger Myerson)博士の3氏に授与された。

 選考委員会は、3者が開拓者となった経済学の一分野、「メカニズム・デザイン理論」を評価したと発表した。「メカニズム・デザイン理論」は、望まれている結果を得るために、最も効率的なリソース活用を確実に目指すための理論で、ハーウィックス氏が提唱し、ほかの2氏が後に発展させた。

 ノーベル賞委員会は「経済学者たちが効率的な取引メカニズムや規制計画、投票手続などを突き止める上で貢献した」ことを評価した。同理論は例えば、取引から最大限の利潤獲得を実現するためのメカニズムの把握や、売り手側が期待する利潤を最大化するメカニズムの追究、また誤用を防ぎながら最適な補償を提供する保険制度のメカニズム研究などに応用される。

 ハーウィックス氏は旧ソ連のモスクワ(Moscow)生まれ。米ミネソタ大学経済学部の名誉教授であり指導教授も務める。1990年に今回の授賞と同じメカニズム・デザイン理論研究で、米国のNational Medal of Science in Behavioural and Social Science賞を受賞している。マスキン氏はプリンストン大学社会科学学部、マイヤーソン氏はシカゴ大学経済学部の教授をそれぞれ務めている。

 ノーベル経済学賞は2006年も米国人経済学者が受賞。相対的な経済政策が現在および将来の世代の福祉に及ぼす影響を研究したエドモンド・フェルプス(Edmund Phelps)氏に贈られている。

 受賞者には金のメダルのほか、3人で合計1000万スウェーデン・クローナ(約1億8400万円)の賞金が贈られる。(c)AFP/Pia Ohlin