【8月14日 AFP】日本銀行(Bank of JapanBoJ)は14日の短期金融市場で、2度にわたり資金吸収オペ(公開市場操作)を実施、前日までの2営業日連続で実施した供給オペと同額の1兆6000億円を吸収した。

 米のサブプライム(信用の低い個人向け)住宅ローン問題をきっかけに世界中に広がった株安への懸念が沈静化しつつあることを受けての措置とみられる。

 米JPモルガン(JP Morgan)の上級エコノミストは、日銀が資金吸収に動いたことについて、「日本の短期金融市場は安定しておりパニックに陥る必要はないとのメッセージ」と市場は受け止めると分析。「財政状況は沈静化に向かい、実際の経済に大規模な影響を与えることはないだろう」としながらも、「数日は様子見の必要がある」と語った。

 日銀は、民間金融機関での十分な資金の流動性確保を目的に、欧米など主要国・地域の中央銀行と協調して10日から13日まで資金供給を実施していた。

 一方、欧州中央銀行(European Central BankECB)および米連邦準備制度理事会(US Federal Reserve Bank、FRB)も13日、それぞれ新たに476億6000万ユーロ(約7兆6500億円)、20億ドル(約2400億円)の資金供給を実施した。

 日銀の動向に対し東京市場では様子見ムードが強まっており、日経平均株価は後場の早い時間帯は前日終値比2円98銭(0.02%)安の1万6797円07銭だった。

 米国の低所得者向け高金利型(サブプライム)住宅ローン問題への懸念が続き、投資家らの買い控えが発生しているとアナリストらは指摘する。

 日銀の福井俊彦(Toshihiko Fukui)総裁は段階的な金利の引き上げ方針を明示しているが、最近の不安定な市場動向を受け、追加利上げは困難な状況となった。

 アナリストらは、特に最近の軟調な経済統計からみても来週の利上げは予測が困難だとしており、JPモルガンのエコノミストは「利上げは不可能ではないが、見送りが市場の大半の見方だ」と指摘した。(c)AFP/Hiroshi Hiyama