【7月20日 AFP】国連貿易開発会議(United Nations Conference on Trade and DevelopmentUNCTAD)は19日、後発開発途上国(最貧国、Least Developed CountriesLDC)に関する年次報告書を発表、貧困から脱出し、他国に並ぶ経済力をつけるために不足しているのは技術力であると指摘した。

 科学技術や技術革新は贅沢品ではなく、最貧国が21世紀に飛躍を果たすために不可欠と同報告書は指摘する。

 「現在の貧困削減戦略には、科学技術を育てようという本来の政策がない」とUNCTADのスパチャイ・パニチャパック(Supachai Panitchpakdi)事務局長。

 後発開発途上国に認定されている世界の50か国は、技術発展に向けた環境を整備する必要があると報告書は指摘。それが教育や社会基盤への投資を促進し、「貧困の罠」の悪循環から脱却する道だと説く。

 現在、その道筋を歩み始めているのはバングラデシュ、カンボジア、ラオスなど、きわめて限られたアジアの国々だけだという。

 また報告書は、最貧国の政府、開発援助を行う先進国、もうけ本意の外国企業のいずれもが、最貧国の技術的発展の価値を無視、あるいは過小評価していることを指摘する。

 外国から援助や投資があっても、それが長期的雇用を生み出し、独立した発展をとげるために必要な知識の普及や、社会基盤の拡充、技術革新に結びついていないという。

 2003年から2005年の政府開発援助のうち、約13億ドル(約1600億円)が最貧国の統治の改善や社会問題解決のために支出される一方、農業の技術開発に充てられたのはわずか1200万ドル(約15億円)に過ぎないことなどが、技術力軽視の例として挙げられた。(c)AFP