【7月5日 AFP】今後、バイオ燃料への依存が世界的に高まるにつれ、発展途上国では食品価格が上昇するおそれがあるとする、国連食糧農業機関(Food and Agriculture OrganizationFAO)と経済協力開発機構(Organisation for Economic Cooperation and DevelopmentOECD)の報告書が4日、発表された。

 報告書によると、現在から2016年までの間に、バイオ燃料の製造に必要な穀物や砂糖、食用油の需要が急増し、それにより農作物価格の上昇が予測される。また、収入の増加に伴う食生活の変化も食糧価格上昇の要因の1つに数えられる。

 エタノールおよびバイオディーゼル燃料の製造には、米国のトウモロコシ、欧州の小麦や菜種、ブラジルの砂糖が大量に必要とされるためだという。バイオ燃料にはエタノールとバイオディーゼル燃料があり、エタノールはてん菜、小麦、トウモロコシ、サトウキビを原材料とし、バイオディーゼル燃料は菜種、大豆、パームなどの植物油とディーゼル油を混合して作られている。

 こうした需要の伸びは、食糧を輸入に頼る発展途上国において物価上昇が「特別に懸念される状況」を生む恐れがある。発展途上国ではすでに、需要の増加がインフレ要因となっており、「食糧対燃料」問題の勃発も予想される。先進国でも食品価格の上昇が予測されるものの、穏やかなものとなりそうだ。

 一方で、新たな製造技術の開発により、バイオ燃料、原油、また原材料の価格が大きく変動した場合、現在の見通しが変わる可能性もある。(c)AFP