【6月28日 AFP】政府は28日、鉄道網の近代化を目指すロシアに新幹線技術を提供するため、7月にロシア側と協議をもつ可能性を明らかにした。

 経済産業省通商政策局の増山 壽一欧州中東アフリカ課長兼ロシア室長の発表によると、政府代表団が7月にロシアを訪問し、ロシア鉄道(Russian Railway)のウラジーミル・ヤクーニン(Vladimir Yakunin)社長や政府関係者らと、新幹線技術の売買を念頭に予備的な協議を行う予定。

 同室長は、「ロシアの多くの自治体首長や住民が日本の技術に関心を示している」と述べた。ロシア政府は今年9月にシベリア鉄道をはじめとする高速鉄道網の整備計画を策定する見込み。

 高速鉄道の技術提供に関しては、フランスのTGVやドイツのICEとの厳しい競争が予想され、経産省ではロシア側の予算や鉄道網整備に対する熱意をつかみたいと考えているという。すべてが順調に運んだ場合、年内に日露の政府と民間セクターの代表からなる作業部会を設置し、計画をさらに掘り下げていく。

 増山室長によると、鉄道網の近代化と共に沿線地域の開発も含めた合意に達することが、日本側にとって最良のシナリオだという。
 
 サンクトペテルブルク(St. Petersburg)とモスクワ(Moscow)北方では、トヨタ自動車日産自動車など日本企業が工場建設を進めている。高速鉄道網が導入されれば、こうしたロシアの工場への日本からの部品調達をより効率化できる。

 増山室長は、天然資源の輸送も高速化できるため、日本が安定したエネルギー供給を確保する助けにもなると期待を示した。(c)AFP