【6月19日 AFP】国際通貨基金(International Monetary FundIMF)理事会は18日、為替政策監視基準を強化することを発表した。「対外不安定性を引き起こしかねない政策を回避すべき」との原則を追加する。監視枠組みの大規模な見直しは30年ぶり。

 ロドリゴ・デ・ラト(Rodrigo de Rato)IMF専務理事は同日、カナダのモントリオール(Montreal)で講演し、「対外安定性の促進を目指す」と語り、「正しい為替政策のあり方および、国際社会で受け入れられる、あるいは受け入れられない為替政策とはどのようなものか、加盟国に明確な基準を示す」と説明した。

 IMFによれば、改定案の枠組みは特定の国を対象とするものではななく、内容の明確化、追加により、185の加盟国に平等な地盤を与えることが目的。為替操作による「過小評価」との批判がある中国の通貨人民元について監視力を強めることが最終目的とみられるが、中国を名指しすることはなかった。

 人民元の過小評価は、為替政策で最も微妙な問題とみられ、一部米議員の間でも不満が広がっている。2006年の米国の対中貿易赤字は2325億ドル(約28兆7000億円)に膨らんだ。

 米財務省は前週、中国の厳しい為替管理が経済問題に発展しているとしながらも、意図的な人民元過小評価とは断定できないことから、同国が市場操作をしていると明言することを避けた。

 IMFの決定を受けたヘンリー・ポールソン(Henry Paulson)米財務長官は18日、改革を歓迎する意向を示した。

 IMF高官は電話会見で、監視枠組み改正の実施手続の詳細については21日までに公表するとしている。(c)AFP/Veronica Smith