【6月12日 AFP】北京五輪組織委員会(Beijing Organizing Committee for the 2008 Olympic GamesBOCOG)は11日、五輪記念公式グッズの製造を発注している同国内の4工場を対象に、12歳児の労働など労働基準違反に関する疑いで調査を開始した。

 調査のきっかけとなったのは、ベルギーのブリュッセル(Brussels)に本部を置く国際労働組合総連合(International Trade Union ConfederationITUC)が前日10日に発表した報告書で、中国南部の工場4か所について、児童労働の使用や法定最低賃金の半分の給与しか支払っていないと告発した。

 報告された4か所の工場についてBOCOGは、2008年北京五輪の公式グッズ生産を同委員会が認可している工場であることを確認。同委員会の蒋効愚(Jiang Xiaoyu)副主席は、「委員会が調査中だが、問題が事実だった場合、BOCOGとして非常に深刻に受け止めて対処する」と発表した。

 香港で記者会見した蒋副主席は、BOCOGが認可した60社以上の企業は、中国の労働法に準じ、児童労働や強制残業、法定最低賃金以下の給与支払いなどの違法行為を行わないことを契約書で誓約している、と強調した。「児童労働の使用は、明らかに中国政府の法令や規制に違反する」。

 また「労働法に関連する中国政府の各法や規制を、BOCOGは厳格に順守している。報告内容が事実ならば、われわれは調査を行い、五輪運動および北京五輪の名声を保つために非常に厳格に対処する」と述べた。違反の確認された企業については即時、五輪グッズの製造許可を取り消すとしている。

 前日発表されたITUCの報告書は「労働者の権利に五輪メダルはなし」と題され、調査官らが中国南部の4社、利奇文教用品(Lekit Stationery)、メインランド・ヘッドウェア(Mainland Headwear)、Eagle Leather Products、和裕栄昌軽工制品(Yue Wing Cheong Light Products)の工場について前年から今年にかけて収集した証拠や証言を発表した。

 4工場は児童労働のほかにも強制残業や、外部の調査官に対し賃金や待遇面に関して偽った回答をするよう被雇用者に命じていた点、さらに衛生・安全上の不備などについても告発された。

 報告書には工場の労働者の証言も引用され、ある工場では13歳の少女が勤務時間を越えて強制的に残業するよう要求されていたことや、別の労働者は有害化学物質にさらされ、手に火傷を負ったことなどを訴えた。

 4つの工場ではいずれも北京五輪関連のバッグや帽子、紙製品などを製造している。五輪関連グッズ全体のどの程度の割合を請け負っていたかは現時点では不明。

 入札時には、労働者の権利や企業の社会的責任についての重要な質問を含む厳しい審査をBOCOGでは課しており、4社はすべてこの審査に合格したと言う。

 蒋BOCOG副主席は、「違反が事実だった場合、その企業とは五輪メーカーとしての契約を打ち切る」と明言した。(c)AFP/Charles Whelan