【北京 9日 AFP】米国でペットフードに混入した有害物質により多数のペットが死亡していた問題で、中国政府は9日、自国企業が生産・輸出した原料が原因であることを初めて認めた。同国の食品管理体制に国際的な懸念が広がる中、政府はさらに広範な調査を約束した。

 中国で輸出品の検査を監督する国家品質監督検査検疫総局は9日、ウェブサイト上で、国内の2企業が化学添加物であるメラニンをペットフードの原料である小麦グルテンに違法に添加し、検査を逃れるために商品名を偽っていた、と発表した。

 高病原性鳥インフルエンザA(H5N1)や重症急性呼吸器症候群(Severe Acute Respiratory SyndromeSARS)に関する情報を公開・共有しないことなどで国際社会から批判されてきた中国政府だが、毒性添加物混入事件では食品管理のずさんさを露呈した形だ。

 検疫総局が発表した調査結果によると、「2社は販売契約上のタンパク質含有量を満たすため、小麦グルテンと米タンパク質に違法であるメラミンを添加していた」という。2社は江蘇(Jiangsu)省の「徐州安営生物技術開発公司(Xuzhou Anying Biologic Technology Development)」と山東(Shandong)省の「浜州富田生物科技有限公司(Binzhou Futian Biology Technology)」。問題のメラミンが混入した小麦グルテンと米タンパク質は輸出された後、カナダのペットフード・メーカー、メニューフーズ(Menu Foods)が加工、販売していた。

 事件発覚後、米国当局はメラミン汚染元として2社を指摘していたが、中国側はこれまで詳細の発表を控えていた。メラミンはプラスチックなど広範囲の製品に使用される有機化合物。食品に添加すると、検査時にタンパク質含有量が増えたように装えるが、動物が摂取した場合、死に至る可能性がある。

 米食品医薬品局(Food and Drug AdministrationFDA)では、これまでにペット数千頭が犠牲になったと推計しており、3日、中国に調査団を派遣し、現地調査を開始した。一方、FDAでは人体への危害はないとしている。

 中国検疫総局は、中国全土の支部に対し、検査を強化するために検査対象となる輸出品のリストを拡大し、特にすべての植物性タンパク質を検査品目に入れるよう命じた。また同局は米国側に調査結果を報告し、ペットフードの安全管理に関する米政府との協力機構づくりを提案したという。米国側の反応は明らかになっていない。

 一方、中国の警察当局は、逮捕した2社の幹部の取り調べを開始した。2社の事件が発覚して以降、これまでに行った他の輸出品に関する調査では、メラミン汚染は発見されていないという。

 写真は、河南(Henan)省開封(Kaifeng)の穀物市場(2005年2月13日撮影)(c)AFP/Mark RALSTON