【マドリード/スペイン 24日 AFP】 スペインの建設大手アクシオナ (Acciona)は23日、伊電力大手ENELと組んでスペインの電力大手エンデサ(Endesa)の買収を検討していると発表した。

 アクシオナはスペインの金融監督当局に提出した文書の中で、アクシオナが主導する形で同社とENELによるエンデサの共同経営を検討中だという。

 アクシオナとENELは既にエンデサ株の大株主だが、さらに持ち株比率を高めるため追加買い付けを提案する見通し。

 これによりドイツのエネルギー大手エーオン(E.ON)が出した410億ユーロ(約6兆4200億円)のエンデサ買収案が頓挫する恐れが出てきた。

■政治的に大きな影響力、「エンデサの経営権」

 スペイン政府は「戦略部門」であるエネルギー産業を自国民で保有することを重視し、前年2月に始まったエーオンによるエンデサ買収の動きに抵抗感を示してきた。

 エンデサ買収が、アクシオナ主導でENELが関与する形となればスペイン政府の懸念にも配慮することになり、企業の国籍を理由に各国政府が買収を妨害することを禁じた欧州連合(EU)法も尊重することになる。

 アクシオナは「交渉は前向きに進んでいるが、最終的な合意には至っていない」と発表。一方のENELも「アクシオナとの交渉は前向きに進んでいるが、 合意を得ていない」と述べている。

 ENELは、同社の買収提案が動き出すのは、エーオンが現在実施中のエンデサ株の公開買付けで50パーセントの株式取得に失敗した場合のみだと付け加えた。

■22日、エンデサ株の取引停止

 イタリアの経済紙ソレ24オレ(Il Sole 24 Ore)は、エーオンがエンデサ株1株につき38.75ユーロ(約6074円)を提示しているのに対し、ENELとアクシオナは、エンデサ株1株につき約41ユーロ (約6427円)を提示する可能性もあると報じた。

  アクシオナとENELによる買収提案のうわさが市場に広まった22日、スペインの証券取引委員会(CNMV) はエンデサ株の取引を停止。

 フランクフルト証券取引所のエーオン株はこの発表直後に2.54%下落した。

 写真は、スペイン南部Barbateの風力発電用タービンに記載されたエンデサのロゴマーク(2006年9月27日撮影)。(c)AFP/JOSE LUIS ROCA