【東京 14日 AFP】菓子メーカー不二家は13日、消費期限切れの原料使用問題で大幅な業績悪化が見込まれることから、東京・銀座にある本社ビルの売却を発表した。

 不二家では2006年度の連結営業損益について、不祥事発覚前の昨年11月予測の8億円の黒字から、過去最悪の67億円の赤字へと大幅に下方修正した。同社は銀座の一等地にある本社を、米系不動産投資ファンドに135億5000万円で売却し、損失を補てんするとしている。

 不二家では洋菓子製造工場で使用期限切れの牛乳やクリーム、卵を使用していた不祥事が相次いで発覚し1月、一連の問題の責任を取り藤井林太郎前社長が辞任。また、同社は昨年生産した洋生菓子から国の基準を超える細菌が検出された事実も認めた。

 不二家は13日、業績予想修正を発表し、「今回の不祥事に伴い、売上高は小売では店舗の休業により、卸売りでは販売チャンネルの縮小により前回発表予想に比べ売上高が約207億円減少する見込み」であると明らかにした。売上高は従来予想の850億円から633億円へ下方修正した。

 不祥事発覚後、不二家では問題のあった5工場の操業を停止し、同時に小売店舗及びレストラン計890件を休業、適切な管理システムの再構築に努めてきた。工場の操業は13日、試験的に再開した。不二家広報部によると、23日から店舗およびレストランの営業を再開する。

 日本における洋菓子生産をリードしてきた不二家は、1910年の創業から97年目を迎える。本社売却先は、米金融最大手シティグループ(Citigroup)の日本市場向け投資事業子会社シティグループ・プリンシパル・インベストメンツ・ジャパンの関係会社と発表している。

 写真は、日本一の地価を誇る銀座の街並み(2000年8月4日撮影)。(c)AFP/Toru YAMANAKA