【ワシントンD.C./米国 13日 AFP】米石油関連大手、ハリバートン(Halliburton)が発表したアラブ首長国連邦(UAE)ドバイ(Dubai)への本社移転が、民主党を中心とする米議員の反発を呼んでいる。

■民主党議員から「税金逃れ」など反発の声が

 ディック・チェイニー(Dick Cheney)副大統領が最高経営責任者を務めていたことでも知られるハリバートンは11日、本社機能をテキサス(Texas)から、エネルギー産業による好景気に沸くUAEに移転すると発表した。

 これに対して、民主党の(Patrick Leahy)上院議員は、「“強欲企業”の最悪の例」とし、「(ハリバートンは)競争入札を経ずにイラクでの事業を独占した。彼らの利益のために、3年間も兵士や納税者が苦労させられている。移転は彼らを侮辱するものだ。しかも、ハリバートンは(ドバイへの移転で)法人税の納税義務の回避を狙っている。この状況下においても、ハリバートンは米国で利益を上げることに余念がないのだろう」と同社を非難する声明を発表した。レーヒー議員は、上院で強い影響力を持つ司法委員会の委員長である。

 また、同じく民主党のヘンリー・ワックスマン(Henry Waxman)下院議員も、ハリバートンの移転に関して聴聞会の開催を求める方針を声明で明らかにした。この中で「(本社移転は)驚愕に値する。米国納税者や米国の安全保障への影響の観点から、説明を求めたい」と述べている。同議員は、下院行政改革委員会の首席委員の職にある。

 2003年の米軍イラク侵攻の際、ハリバートンは米軍支援事業を24億ドル(約2820億円)で独占受注している。これをめぐり、ハリバートンと、最近同社から分割譲渡により子会社化された物流・サービス分野のKBRは、数々の非難を集め、調査対象となってきた。

 米軍への物資支給契約における疑惑については、KBRが2006年、米政府に800万ドル(約9億4000万円)を支払うことで一応の決着をみた。


■ハリバートン側は、あくまでビジネス戦略上の必要性を主張

 一方、ハリバートン側は、この移転は2006年に発表したビジネス戦略の第2段階にあたるものだと説明。湾岸諸国や近隣地域の国営石油企業との関係を深め、石油ビジネスの強化を図るとしている。

 デーブ・レザー(Dave Lesar)最高経営責任者は、中東地域での事業拡大に際し、「現地での石油サービス契約や、関連ビジネス状況を直接把握するために、本社機能を中東に置く」と説明している。

 報道の一部には「ドバイへの本社移転後も、ハリバートンが米国企業としての法人登録を保持する」とするものもあるが、同社広報からはこの情報についての確認が得られていない。

 世界70か国で事業展開し、従業員4万5000人以上を擁するハリバートンは、歳入の38%以上にあたる130億ドル(約1兆5000億円)を東半球での石油関連事業から得ている。

 写真はハリバートンのロゴ(2003年3月10日撮影)。(c)AFP