【6月20日 AFP】例年より早く訪れた夏季の季節風(モンスーン)による豪雨で鉄砲水が発生したインド北部ウッタラカンド(Uttarakhand)州などでは19日、孤立した多数の被災者のため、軍がヘリコプターで緊急支援物資の輸送を行った。

 当局者らによると、インド北部と隣接するネパールで発生した鉄砲水で町や寺院が被害を受け、160人以上が死亡。また、洪水と地滑りの発生により、巡礼や観光の目的で被災地を訪れていた多くの人たちが避難した。

 インドのマンモハン・シン(Manmohan Singh)首相 は洪水の被害を「これ以上ないほど痛ましいこと」と述べ、孤立している人たちの救出と、避難している1万人以上の支援が最優先だと語った。

 スシル・クマール・シンデ(Sushil Kumar SHINDE)内相は首都ニューデリー(New Delhi)で報道陣に対し、19日の時点で被災地に孤立している人は約6万5000人に上ると明らかにした。

 また、ウッタラカンド州のヤシュパル・アリヤ(Yashpal Arya)災害対策復旧担当相によると、死者は少なくとも110人に上っている。同相は、「州政府と軍は、洪水が発生した渓谷やヒンズー教寺院の近くで孤立している数千人の観光客らを救出するために尽力している」と述べた。

 当局者らによるとこの他、隣接するウッタルプラデシュ(Uttar Pradesh)州とヒマチャルプラデシュ(Himachal Pradesh)州で、合わせて少なくとも28人が死亡した。シン首相は、公式の死者数は現在のところ102人だが、「増える可能性がある」と懸念を表明している。

 一方、隣国ネパールの当局者らによると、同国でも今回のモンスーンがもたらした豪雨でここ数日のうちに発生した地滑りと鉄砲水で、少なくとも22人が死亡。政府は救出活動の態勢を強化している。(c)AFP/Mahesh Pandey