【6月3日 AFP】国連科学委員会は5月31日、2011年の福島第1原子力発電所事故による放射線被ばくが、将来的に健康障害をもたらす可能性は低いとする報告書をまとめた。

 報告書をまとめた放射線の影響に関する国連科学委員会(UN Scientific Committee on the Effects of Atomic RadiationUNSCEAR)は、「福島第1原発事故後の放射線被ばくは、健康にただちに影響を及ぼさなかった」「累計被ばく量を評価された作業員の大多数と公衆の将来的ななんらかの健康影響に(事故を)関連づけることができる可能性は低い」と述べた。

 報告書は18か国の科学者80人が作成し、オーストリアのウィーン(Vienna)で開かれた総会後に発表された。

 報告書はまた、日本政府の事故後の即時対応を称賛した。「公衆を守るために当局がとった措置(退避と避難)は、被ばく線量を大幅に減らした」「事故現場で働く作業員2万5000人近くのうち、放射線に関連した死亡は1例も見つかっていない。被ばく量の高い作業員の人数が少ないため、今後、放射線被ばくを原因とする甲状腺がんが識別される可能性は低いだろう」と述べた。(c)AFP