【6月3日 AFP】米オクラホマ(Oklahoma)州を5月31日に襲った竜巻で、竜巻追跡を専門とする「ストームチェイサー」3人が死亡していたことが分かった。

 竜巻追跡プロジェクト「TWISTEXTactical Weather Instrumented Sampling in Tornadoes Experiment)」が2日、フェイスブック(Facebook)に掲載した声明によると、死亡したのはベテランストームチェイサーのティム・サマラス(Tim Samaras)さん(55)と息子のポール・サマラス(Paul Samaras)さん、カール・ヤング(Carl Young)さんの3人。サマラスさんはプロジェクトの調査責任者だった。3人はオクラホマシティー(Oklahoma City)の西に位置するエルレノ(El Reno)で亡くなったという。

 TWISTEXは「気象研究や竜巻追跡にとって計り知れない損失だ」とのコメントを掲載し3人の死を悼んだ。今回の竜巻は広範囲に暴風雨や大粒のひょうをもたらし、オクラホマ州で少なくとも11人の死者を出した。

 地元当局者によると、当時、竜巻を追跡中だったサマラスさんら3人が乗っていた車両は激しく損傷し、その破片は約800メートルの範囲に散乱した。遺体が車内で見つかったのは1人だけで、残る2人の遺体はそれぞれ逆方向に400メートルほど離れた地点で発見されたという。米テレビCNNは3人が乗っていた車両として、原型をとどめないほど潰れた車の残骸を放送した。

 科学誌ナショナル・ジオグラフィック(National Geographic)によれば、サマラスさんは世界で最も著名なストームチェイサーの1人で、竜巻追跡歴は20年におよぶ。6歳の時に見た米映画『オズの魔法使(The Wizard of Oz)』が竜巻に関心を持ったきっかけだったという。

 ナショナル・ジオグラフィックは、「残念ながら3人は亡くなったが、彼らは自らが愛する仕事をしていて亡くなったのだ」というサマラスさんの兄弟、ジム(Jim Samaras)さんの言葉を伝えた。(c)AFP