【5月21日 AFP】シェルターに身を潜め、やり過ごした人々が目の当りにしたのは、がれきが積み上げられた月面のような世界だった──米中部オクラホマ(Oklahoma)州の州都オクラホマシティ(Oklahoma City)郊外を20日に襲った巨大竜巻の生存者らが、当時の状況を振り返った。

 20日午後、ムーア(Moore)郊外では竜巻警報が鳴り響いた。しかし、誰一人として、これほど壊滅的な被害が出ることは予想できなかった。

 顔を傷だらけにしたエリザベスさんは地元テレビに対し、自宅で待つ飼い犬のジンジャーのもとへ向け高速道路を猛スピードで走行したと語った。

 帰宅したエリザベスさんは、飼い犬を抱き、ありったけの枕を抱えて浴槽へと飛び込んだ。竜巻は全てを宙に舞い上げ、気付いた時には、エリザベスさんは自宅「だった」場所に積まれたがれきの中にいた。「生き延びることができた。信じられない」とエリザベスさんは無傷の飼い犬をなでながら語った。

 ウマを飼育するランド・ハイドさんも、まず動物たちのことを心配したという。急いで数頭のウマを放して、自分は馬小屋の中に避難した。竜巻は馬房を引き裂き、ハイドさんたちの頭上にはトラックが落下したと語った。「耐えられないほどうるさくて、まわり一面には物が飛んでいた」

 竜巻は2つの学校も破壊した。6年生のブレーディ君は米CNNテレビに対し、教員らが児童をトイレに避難させたことについて語った。その後、ガス漏れが起きたとの報告があったため、児童らは急いで学校から退避したという。

 救助活動は竜巻が過ぎ去った直後から始まった。住民らは周辺の倒壊した住宅を回り生存者を探した。捜索活動は夜に入っても続いており、死者数は今後さらに増える可能性が高い。

 米中西部のオクラホマは「トルネード・アレー(Tornado Alley)」と呼ばれる竜巻多発地帯に位置している。だが住民も、20日の竜巻がもたらした破壊には衝撃を受けていた。

 ある女性はCNNの取材に対し、「帰宅して気付いたのは、家が何も残っていないということ」と語った。

「正面部分はまだ残っているけれど、反対側はなくなってる。バスルームは無傷。動物たちも失った。何もかも失った。私と家族は平気だし、なんとかやっていける。けれど何もかもがなくなった」

 スティーブ・ウィルカーソンさんも自宅を失った。ただ家族が無事だったことに感謝していると話している。

「またもと通りにするさ。やりなおすだけ。(本当は)泣き崩れそうだけど、強い気持ちで前進しないとね」

(c)AFP