【5月23日 AFP】洪水被害に見舞われがちなアジアの巨大都市は、大規模な排水システム建設、水の再利用、ごみ削減を推進し、洪水の防止と安全な水の確保に努めるべきだと、専門家らが19日、タイで開かれたアジア太平洋地域の水の安全保障を話し合う「第2回アジア・太平洋水サミット」で述べた。

 急速な都市化はアジア全域の水資源と排水システムを圧迫している。そのため、アジアの低地にある都市は、昨年のインドネシア・ジャカルタ(Jakarta)やフィリピン・マニラ(Manila)、2011年のタイ中部をまひさせたような大洪水の危険性にさらされている。

■豪雨の際に排水路になる巨大地下トンネル

 タイでは、2011年の洪水以降、洪水対策に注力してきた。11年の洪水は、タイの大部分で数か月にわたって続き、同国の製造拠点に大打撃を与えた。

 タイ地下採掘グループ(Thailand Underground Tunnelling GroupTUTG)による野心的な提案は、バンコク(Bangkok)の地下に2つの巨大トンネルを建設し、激しいモンスーンの大雨の水を排水するというものだ。

 マレーシアの首都クアラルンプール(Kuala Lumpur)に建設された2層構造のトンネルと同様の仕組みで、この地下道は大規模な洪水の際には閉鎖され、排水路として使用されるという。

 総工費は35億ドル(約3600億円)。過剰な雨水を、都市の地下にある水資源に戻すこともできるかもしれない。バンコクの地下にある帯水層の地下水の減少は、同市の地盤沈下の一因ともなっている。

「バンコクは沈んでいる。もしも(豪雨から)水を確保できれば、帯水層を再び満たすことができるかもしれない」と、TUTGの担当者は語った。

■水の再利用も重要に

 人口が急増するアジアの各都市が直面している水問題の解決策としては他に、水資源の再利用強化──これはシンガポールが率先して成功させている──や、流出事故の防止、その他の廃棄物の削減などがある。

 シンガポールの水事業者、公益事業庁(PUB)の担当者は、「空から落ちてくる全ての水滴を集めようと努めている。全ての水滴を集め、複数回利用しようと努めている」と語る。同氏によると、シンガポールでは現在、3分の1の水を再利用しているという。(c)AFP/Aidan Jones