【5月14日 AFP】カナダのマニトバ(Manitoba)州の湖畔の町、オーカービーチ(Ochre Beach)を前週末、「氷の壁」が襲い、数十戸の家屋が損壊した。

 地元自治体の13日の発表によると、住宅を襲った氷の塊は最高で高さ9メートルにまで達し、コテージ27戸が破壊ないしは激しい損傷を受けた。うち7戸には、年間を通して生活している居住者がいた。

 風速25メートルの強風が吹く中、自治体は非常事態を宣言したが、幸いけが人は出なかったという。オーカービーチは、州都ウィニペグ(Winnipeg)の約300キロメートル北西にある。

■強風で積み重なる氷

 氷のメカニズムに詳しいマニトバ大学(University of Manitoba)土木工学科のジェイ・ドーリング(Jay Doering)氏はAFPの取材に、この一見奇妙な出来事は実は珍しいことではなく「間欠的な出来事」だと語った。

 ドーリング氏によると、同じ週末にかけて同様の出来事がアルバータ(Alberta)州と米ミネソタ(Minnesota)州でも発生したという。「適切な条件が必要なだけ。沖合の氷、あまり巨大な氷床ではなく小さい破片が多いこと、それに強風だ」

 通常は、強風が沿岸に向けて氷を押し、勢いがついた氷は、陸に到達しても「そのまま突き進む。だが後方にもまだ氷があり、この地方は海岸線が緩やかなため、氷は押され続け、氷の上に氷が重なっていく」という。「線路に2本の列車があって、1本が停止しているところにもう1本が全速力で衝突し、さらにそこにどんどん列車が衝突して車両が積み重なっていくようなものだ」

 この氷被害による損壊には保険が適用されないため、住民は住宅再建費用の補助に、連邦政府の災害復興援助を頼みにしている。(c)AFP