【4月26日 AFP】(一部更新、写真追加)ロシア・モスクワ(Moscow)郊外ラメンスキー(Ramensky)にある精神科の病院で26日、火災が発生し、38人が死亡した。犠牲者の大半は入院患者で、病室の窓に鉄格子がはめられていたため逃げられなかったとみられる。

 ロシアでは数年前から医療施設での火災が相次いでおり、精神科の病院を中心に、医療機関の安全基準に改めて疑問が生じている。ロシア連邦捜査委員会(Russian Investigative Committee)は、火災予防法違反の疑いで捜査を開始したと発表した。

 保健省と非常事態省によると、26日の火災は平屋建ての病院の一部木造の屋根から出火し、瞬く間に建物全体に広がった。出火当時、病院内には41人がおり、患者2人と職員1人が避難できたものの、女性職員2人を含む38人が逃げ遅れて死亡したという。

 露テレビ局「ロシア24(Rossiya 24)」が警察関係者の話として伝えたところによれば、患者の大半は睡眠中に煙を吸い込んで死亡したとみられるという。また、救助活動にあたった消防当局はタス通信(ITAR-TASS)に対し、同病院の患者は夜間は薬を服用してぐっすり眠り込んでいる点を指摘した。

 火災報知機は作動しており、助かった患者2人は目を覚ました看護師とともに避難したという。ただ、消防隊が現場に到着するのに約1時間かかっており、テレビ局チャンネル・ワン(Channel One)は対応の遅れを批判している。

 当局者によると、モスクワ州のアンドレイ・ボロビヨフ (Andrei Vorobyev)州知事のほうが、消防隊より先に現場に到着していたという。モスクワ州当局は、27日を犠牲者ための服喪の日とすることを発表した。

■ソ連時代の老朽化した病院で相次ぐ火災

 ロシアの医療施設の多くはソビエト連邦時代に建設され、老朽化したインフラが問題となっている。

 2006年3月に南部の高齢者の介護施設で起きた火災では、施設の火災予防法違反に加え、近隣に消防署がなかったことが原因で63人が死亡した。同年12月にはモスクワの薬物中毒リハビリ施設で火災が起き、女性45人が死亡している。この火災でも、病棟の窓に鉄格子がはめられていた上、非常口に板が打ち付けられていたため、多くの患者が逃げ遅れた。

 07年5月には南部ロストフ(Rostov)州の精神科病院で火災が発生し、2人が死亡、12人が負傷している。(c)AFP/Anna MALPAS