【12月26日 AFP】ロシアは大寒波、英国では洪水、その一方で南仏ではうららかな陽気に誘われて人々がしまい込んだ水着を引っ張り出す――。25日のクリスマスまでの数日間、欧州は広域で異常気象に見舞われた。

 露モスクワ(Moscow)は氷点下25度と、平年1月~2月並みの厳しい寒さとなった。この寒波で、12月半ばから24日までにロシアで90人、ウクライナで83人が死亡。シベリア(Siberia)東部では気温が氷点下50度を記録するなど、ユーラシア(Eurasia)大陸東部はいつになく寒い12月となっている。

 東欧ポーランドでも12月に入ってから寒さのため57人が死亡し、関係当局は「ここ70年で最悪の寒波」とみているという。

 旧東側諸国が寒さに震え、英国が豪雨による水害と格闘しているさなか、南仏とイタリアは突如として季節外れの暖かな空気に覆われ、薄着や水着姿の住民や観光客の姿が目に付いた。

 大西洋に面する仏ビアリッツ(Biarritz)では平年より12度高い24.3度まで気温が上昇し、この時期としては1983年に観測された最高気温24.4度に迫る暖かさとなった。標高1000メートルを超えるオーストリアの小村ブラント(Brand)でも24日、過去最高の17.7度を記録した。

 英オックスフォード大学(Oxford University)のティム・パーマー(Tim Palmer)教授(気候物理学)はAFPの取材に、北半球のジェット気流の蛇行が今年は特に大きく、北極からの冷たい空気がロシア上空を覆うと同時にフランス周辺には暖かい空気が大量に流れ込んでいることが、一連の異常気象の背景にあると説明した。ただし、これが気候変動と関係あるかどうかは「分からない」と述べ、単なる一時的な気象現象の可能性を指摘している。(c)AFP